指定した時刻にアラームが鳴る数十分前に目が覚めた。
遮光カーテンの隙間から朝日が差し込んでいて、殆ど日の明かりは遮断されているがそれでも室内はほんのりと明るくなっている。
隣で眠っている彼女に視線を移すと、規則正しい寝息を気持ち良さそうに立てていた。
顔にかかっていた柔らかそうな髪が邪魔だろうと思い、そっと触れ除けると彼女は身動いだ。

「んー……」

うっすらと彼女の目が開く。
リビングで寝落ちた際に彼女をベッドまで運んでも全く起きないのだが、今日は丁度眠りが浅かったのか起こしてしまったようだ。

「すみません、起こしてしまいましたね……」
「……んーん」

再び彼女の目は閉じられた。
開けようとしているようだが、まだ眠気が強いのだろう眉間に皺が寄るだけで全く目は開いていない。

「ななみんー……」

眠そうな声で私を呼ぶと擦り寄ってくる。
その仕草が猫のようで思わず頬が緩む。彼女の頭を撫でると、だんだんと眉間に寄っていた皺が消えて安心したかのように再び気持ち良さそうな寝息が聞こえてきた。
スマートフォンで時刻を確認する。目覚めた時から数分が経過し、アラームが鳴るまであと七分といったところだった。
アラームが鳴るのを待たずにベッドから出てしまうのは簡単だ。だが、私にくっついたまま眠っている彼女のせいですぐにベッドから出てしまうのは惜しいと思ってしまう。
今日が休みであるならば、このまま彼女と一緒に眠りに落ちてしまいたかったが、生憎と互いに任務が入っている。アラームが鳴れば嫌でも起きなければならない。
それまでのあと数分間という短い時間を隣で眠る彼女の温もりに浸っていたいと私に思わせてくる彼女は本当にずるい。何の夢を見ているのか分からないが、にやけながら再び頬を擦り寄せてくる彼女に私は観念したように息を吐いた。


2020/10/26

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