どうやら彼女は、また何かを思いついたらしい。
休憩室で、私はコーヒーを彼女はミルクティーを飲んで他愛のない会話をしていたのだが、急にこちらが思いつかない何かを思いついた彼女が唐突にスマホに動物の子供の写真を表示させ見せてくる。

「これどう思う?」

最初に見せられたのは何故かコウテイペンギンの子供の写真だった。

「コウテイペンギンの子供ですね」

そう答えると残念そうな表情を向けてくる。
どうやら彼女が期待していた回答ではなかったらしい。
次に見せられたのは、ホワイトタイガーの子供の写真だった。その次は、レッサーパンダ、ミーアキャット、プレーリードッグ等と共通点がまるでない。
次第に彼女が何を期待しているのか分かってきたが、私の答えが間違っているわけではないのに残念そうな表情をされるのはいまいち腑に落ちない。

「じゃあこれは?」

見せられたのは、ラッコの子供の写真だった。

「ラッコの子供ですね」

分かっていてわざとそう答える。
彼女はがっかりした顔をすると思っていたのだが、スマホをすっと引っ込めると彼女自身のことを指差し自信満々な表情を向けてきた。やはり彼女の言動は予想が出来ない。

「じゃあ私は!?」

不意打ちだった。
そう問われたら、彼女の期待していた言葉を言わないわけにはいかないだろう。本当に彼女はずるい。

「可愛いですよ」

瞬間、嬉しそうに緩んだ笑みを浮かべる彼女を前に改めて可愛いと思った。


2020/07/28

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