リビングの壁にかけてあるカレンダーに、互いの予定をいつからか書き込むようになっていた。
月の終わり、翌月の予定を確認しようとカレンダーを見ていると出張と書き込んだ私の予定のところに小さく寂しいという文字が書かれていた。いつの間に書き込んでいたのか今まで気づかなかった。
同時に、こういう可愛らしいことをしてくる彼女への愛しさが込み上げてくる。緩みそうになった口元を誤魔化すように溜息を一つ落とし、近くにあったペンを取ると彼女の出張の予定のところへ同じように小さく文字を書いた。

私も寂しいですよ

私が書いたその文字に彼女はいつ気がつくのだろうか。
いや、彼女のことだ全く気がつかない可能性がある。それとなく彼女が気がつくように誘導する必要があるかもしれない、と考えていると任務から帰宅した彼女の声が玄関から聞こえてきた。

「ただいまー」

私は、カレンダーのことには一切気がついていないふりをしながら彼女を出迎える。
彼女が寂しいと書き込んだ私の出張日には、彼女が好きそうなお土産をたくさん買って帰ったらいつもよりも甘やかそうと思った。


2021/12/30

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