お互いに満身創痍で、廃墟の壁に並んで寄りかかって座り込んでいた。
今更、服が汚れてしまうなどということは気にならなかった。何故から呪霊との戦闘で十分に汚れてしまっているからだ。
強さ的にはたいしたことはなかったが、問題はその数だ。圧倒的な数の暴力に苦戦をした。もうダメかもしれないと途中思わなかったと言ったら嘘になってしまう。私一人だけだったのなら、そういう考えが浮かんだ時点で諦めてしまったかもしれない。
だが、私に背中を預けてくれた彼がいた。私が諦めてしまったら私だけではなく、彼も巻き込んでしまうことになる。それは絶対に嫌だと意地で呪霊を祓い続けた。
無事に全ての呪霊を祓い終えたところで冒頭に戻る。
「ねえナナミン」
ようやく息が整ってきたタイミングで、隣に座る彼の存在を確かめるように名前を呼んだ。
「はい」
すぐに返ってきた声に安心する。
「ナナミン」
「何ですか?」
「ナナミン」
「聞こえてます」
「ナナミン」
「……どうしたんですか?」
「呼んでみただけ」
ふっと笑みを漏らして、寄りかかるように彼の肩に頭を乗せる。隣に彼がいるそれだけで安心した。
2021/10/24
×