穏やかな午後、幼馴染というポジションを最大限に活用してネズの部屋に入り浸っていた。
そこでネズの横に座り、撫でられているタチフサグマが羨ましくなった。

「いいなあータチフサグマ」

つい思ったことが、口から漏れてしまっていた。気付いた時にはもう遅く、タチフサグマに向けられていたネズの視線が私へと向けられる。

「何がです?」

誤魔化そうと思ったが、きっとこの幼馴染にはそうしたところで簡単に見破られてしまうのだ。それなら誤魔化す意味がない。素直に羨ましくなった理由を口にした。

「だって……ネズといる時間長いじゃん」

私からそんな言葉が出てくるとは思わなかったのかネズはきょとんとした表情を浮かべている。

「ポケモン以外で一緒にいる時間が長いのはマリィとお前だけですよ」
「え?」
「知らなかったんですか?」
「うん、でも……」
「でも?」
「なんかそれ知られたら、私はネズのファンに刺されそう……」

はあ、と呆れた様に溜息を漏らされた。
半分冗談で言ったのだが、その冗談が通じたのか本気に受け取ったのかネズは溜息の後真面目な顔で私を真っ直ぐに見据えた。

「おれのファンにそんな物騒なのいねぇですよ……でも、まあ、もしもの時はおれが守るよ」
「え……!?」
「お前を危険な目に遭わせるわけないじゃねぇですか」
「……うん、ありがと」

恥ずかしくなってネズから視線を逸らしてしまう。

「どういたしまして」

返ってきたネズの声が優しくて、やっぱり私はこの幼馴染のことが大好きだということを実感してしまう。ネズが幼馴染で本当によかったと心から思った。


2019/12/23
×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -