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朝5時。
銀時と凛は神楽を起こさないよう、静かに万事屋を出た。

「ふあ〜、ねみィ…。」

「送っていただけるのは助かりますけど無理しなくても良かったんですよ、銀さん。」

「いやいや凛ちゃんね、朝方ってのも意外と危ないもんなのよ?酔っ払いとか多いんだぜ〜絡まれたら危ねェだろ。」

確かにかぶき町の朝は酔っ払いが多い。それに凛は真選組までの道もまだ不安なので銀時がいてくれると非常に心強いと思った。
初出勤ということもあり、銀時と凛は他愛もない話をしながらも少しそわそわしながら歩き、ついに真選組までたどり着いた。

「お、着いた。ここだぞ。」

「おお…、今日から私の職場なんですね!」

「言っとくけど本当に碌な奴らじゃねェからな、本当に本当に気をつけろよ!」

「もう、何回も聞きましたって。大丈夫ですよ。道もばっちりなので、帰りも一人で帰れますし、安心してください!」

「そうですぜィ、旦那。心配なのはわかりやすけど凛さんも子供じゃあるめェし。」

「あれ?総悟くん、おはよう!」

凛は突然現れた沖田に驚きつつも挨拶をする。銀時は沖田に言われたことが図星だったのか、逆ギレして沖田に突っかかっている。

「オイ、朝からうるせーぞ。女中の説明がある。中に入れ。」

「あーあ、土方さんにバレたじゃねェですか。せっかく俺一人で凛さんを連れてこうと思って早起きして待ってたってのに。」

土方に怯えながらも凛は銀時に「またあとでね!」と手を振った。
そして沖田とともに屯所内へと入っていく。ついでに沖田は銀時の方を振り返り、一瞬だけ黒い笑みを浮かべた。

「凛のことそんなに待ってたってか…?まあとりあえず帰ってもうひと眠りすっかなァ。」


***


「凛ちゃん!よく来てくれた!今日からよろしくな!この人が女中頭の加藤さんだ!」

「凛と申します、今日からよろしくお願いします。女中のお仕事は初めてで…、ご迷惑をおかけするかもしれませんが、頑張ります!」

「良い子そうじゃないか、さすが局長さんだね。じゃあ早速仕事の説明に入らせてもらうよ。」

近藤、女中頭、凛の三人で机を囲み、色々と説明を受けている凛を見ながら、土方と沖田は話していた。

「土方さん、凛さんのことどう思ってるんですかィ。」

「あ?どうもこうもねーよ。ただ攘夷浪士どもの仲間じゃねェってはっきりわかるまで見るだけだ。それに半端な仕事するんだったら即効つまみ出せばいい話だろ。」

「厳しいですねィ。まァ要領も悪くなさそうですし、そのうち土方さんも認めるんじゃないですかねィ。」

「…うるせェよ。仕事見てからだって言ってんだろ。俺はもう行くからな。」

「チッ、つまんねーお人だなァ。」

沖田の最後の呟きは聞こえていたのかどうなのか、土方も小さく舌打ちをしてその場を去っていった。

「さ、説明はこれくらいさね!早速仕事に入ってもらうよ!今日は私と一緒に行動して、大体の一日の流れを覚えてもらおうかね。」

「は、はい!よろしくお願いします!」

「よし、早速食堂へ行こうか。朝食の準備があるからね!」

そう言って女中頭の加藤さんと凛は二人で歩いていった。
その場にいた近藤は沖田がいることに気づいていたのか、話しかける。

「総悟、トシは何て言ってた?」

「まだ浪士の仲間じゃねェかって疑ってるみたいですぜィ。まあ旦那といるなら疑うかもしれやせんが、異世界って話もあるんでねィ。仕事見てから決めるって言ってやした。」

「そうか、やっぱりトシはそう言うか。まァ凛ちゃんなら大丈夫だろう。」

きっと仕事もきちんとやってくれるさ、と言って近藤は大きく笑った。
沖田もそんな近藤を朝食に誘い、こちらも二人で食堂へと向かった。


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