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「んー、良い天気だなあ。」

凛はひとり、公園のベンチで深呼吸をする。
万事屋に住ませてもらってから、一人で出歩くのは初めてである。
一人で出歩くといっても、近くの公園まで散歩に来た、というだけだ。
公園には、凛のように散歩に来た人、元気に走り回る子ども達など、平和な風景が広がっている。

公園まで歩いている間、見回りをしている真選組の隊員を見かけた。
明日から彼らと同じところで働くのかと思うと、少しだけ緊張する。
実を言えば、緊張でそわそわしてしまい、外の空気を吸おうと思って公園まで来たのである。

しかし、公園まで来たところでそれがおさまるわけもなく。
凛はしきりに溜め息をついていた。

「凛さん。」

凛が驚いて振り向くと、そこには沖田が立っていた。

「おき…、総悟、くん。」

つい苗字で呼びそうになったが、しっかりと名前で呼んだ凛に、沖田は満足げな顔をする。
そして凛の隣に腰掛けた。

「どうしたんですかィ?さっきから溜め息ばっかりついてまさァ。」

「さっきから見られてたんですね…。いえ、少しだけ考え事を。」

そんな凛に、沖田は敬語も使わなくて良いって言ったじゃねェですか、と言った。
そして、少しだけ考えるような素振りを見せた後、凛の考えを見抜いたかのように話し始めた。

「まァ大方、明日から真選組で働くのが不安だとでも思ってるんでしょう?」

「う、まあそうですけど…、やったこともない仕事だし、ご迷惑をおかけしないか…。」

「そんな固くなんねェでくだせェよ。敬語も抜けてないですし、そこまで気ィ張らなくてもいいんじゃないですかィ。」

そう言われながらも、やはり腑に落ちない様子の凛を見て、沖田は更に続ける。

「それとも、誰か、あんたが気に病むような人でも?」

そう言ってにやりと笑った沖田を見て、凛は見透かされている、と感じた。
凛が何と返そうか悩んでいると、他の声が聞こえた。

「ちょっと沖田く〜ん?うちの子、あんまりいじめないでくれる?」

「旦那!いじめてたつもりはないんですけどねィ。凛さんが悩み事があるってんで、話聞いてただけでさァ。」

「へェ〜。凛、悩み事ってどうしたんだよ。」

銀さんには言ってくれないの、と拗ねる振りをする銀時に、凛は慌てて否定する。

「ち、違います!銀さんには昨日話したことで…、悩み事ってほどでもないですよ。」

それを聞いた沖田は、なんでィつまんねーのと言いながら、立ち上がった。
そして、凛に向かって言う。

「まァ土方さんも悪いお人じゃないんでねィ。昨日の今日であまり良くは思えないかもしれねェですが、そんな心配することでもないでさァ。」

じゃ、怒られない内に見回り再開するんで、と言って、沖田は行ってしまった。
その後ろ姿を見ながら、銀時が呟く。

「あいつが土方くんのこと庇うなんて、珍しい事もあるもんだなァ、おい。」

「そうなんですか?でも総悟くんのおかげで、少しだけ安心できました。」

銀時は、あれ?銀さんも昨日同じようなこと言わなかったっけ?と必死に訴えかけるも、その姿が面白かったのか、凛に笑われてしまう。

「銀さんも、昨日はありがとうございました。総悟くんには余計な心配をかけちゃったかもしれないけど…、明日から頑張りますから!」

そう言って笑った凛に安心した銀時は、凛の頭を撫でた。

「ま、当分は道もわかんねーだろうし、送り迎えくらいしてやるから。」

「えっ、そんな、申し訳ないですよ!朝も早いですし…。」

朝が早いと聞いた銀時は、あからさまにやってしまった、という顔をしていたが今更ひくこともできず、明日とりあえず送る、と言い、二人で帰路についた。




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