*07


近藤さんとの話し合いはある程度済んだので、世間話をしていた。
銀さんはしきりに、凛〜帰ろうぜ〜と駄々をこねているが、見ない振りをする。私はまだ近藤さんに話さなければいけないことがある。

「あの、近藤さん。一つ話しておかなければいけないことがありまして…、聞いて頂けますか?」

私のかしこまった態度に、近藤さんは姿勢を正して、聞く体勢を整える。
銀さんも先ほどまでの空気と変わったと気づいたのか、私の横に座り直した。

「信じてもらえないかもしれませんが、実は私、この世界の人間ではないんだと、思います。」

近藤さんは私がそんな話をすると思わなかったようで、とても驚いている。そして、私の隣にいる銀さんも同様に。
先に言葉を発したのは、銀さんだった。

「凛、お前この間はかなり曖昧な感じだったが…、随分はっきりした言い方になったじゃねェか。何があった?」

「すみません銀さん。つい先ほど結論が出たもので、話す暇がなくて…。実は、真選組に入る際、看板を見たんです。その看板に書かれた文字は、真、選、組、この文字でした。」

そう言って私は近藤さんに紙と筆を借りて、書きながら説明する。
銀さんも、近藤さんも黙りこくっている。

「でも、私の知っている”しんせんぐみ”は、この字なんです。」

そして私は、先ほど書いた文字の下に、新選組、と書いた。
二人は、少しだけ目を見開く。銀さんは小さな声で、どういうことだ、と言った。

「私の知っている新選組も、江戸時代に存在していました。もっとも、私の知っている江戸時代はこんなに技術は発達していませんでしたが。こういったことも考慮すると、銀さんには少しだけ説明したように、タイムスリップというよりは、似たような、でも違う世界に来てしまった、パラレルワールドの方が合っているんじゃないかな、って思ったんです。」

すみません突然、びっくりしましたよね、と言うと、近藤さんは受け入れきれていないようで、作り笑いのような笑顔を浮かべて、驚いたなァと言った。
銀さんは以前話した事、今新しく話した事を合わせて何か考えているようだった。

「今お話ししたことは、先ほどいらしたトシさん…?にも、総悟くんにも話してくださって構いません。近藤さんにお任せします。本当は私から話すべきなんでしょうけど、お二人とも何だか忙しそうで。話せる機会がありましたら、私からも直接お伝えしたいと思います。」

「お、おお!そうか、わかった、とりあえずは俺から話しておこう!そうだな、凛ちゃんからも話してくれると、あいつらも聞きたいこととかもあるだろうしなァ、そうしてくれ!」

わかりました、と返事をし、今回はお暇することになった。
近藤さんに門まで送っていただいて、銀さんと一緒に万事屋に帰る。

「良さそうな職場見つかってよかったです。今日はありがとうございました、銀さん。」

「ん?あー、銀さんは納得してないっちゃしてないけどね?あんなむさい所、男は皆オオカミなんですよ?そのへんわかってンのかね、凛ちゃんよォ。」

こんな言い方だけど心配してくれてるのが伝わってきて、温かい気持ちになった。
何も言わずに嬉しくてつい、にこにこしていたら、銀さんが戸惑ってしまったので、慌てて謝って、お礼を言った。

「とにかく、何かあったらすぐ言うこと!ゴリラがストーカーするとか!マヨラーがうぜェとか!ドSに調教されそうとか!すぐだからなすぐ!」

「銀さんってお母さんみたいですね、心配してくれてありがとうございます。」

そういうことじゃなくってェ!これマジで言ってるからね!と叫びながらも諦めたのか、まァ頑張れよと言ってくれた。



と、いうような感じで、仲むつまじく万事屋まで帰ったので、特に何も問題は無いと思います。
凛さんが新しく真選組で働くと聞いてびっくりしましたが、これから仲良くやっていけたらいいな、と思いました。


「山崎、切腹だ。」

「えっ!そんな!副長!?か、刀しまってください!!うわあああああ!!」

チッと舌打ちをして、土方は、山崎の提出した報告書をぐしゃぐしゃに丸めた。
万事屋が攘夷志士という線も捨て切れねェのに、そんな奴が連れてきた女を雇うなんて、近藤さんもどうかしてる。
まァいつか尻尾出す時があれば、女だろうと容赦はしねェ。

「近藤さんと話してくるか。」

そう言って土方は立ち上がり、近藤の部屋へと向かった。


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