死ぬときは


 
死ぬときは――…
 
 
『私は留ちゃんの隣で笑いながら死にたいな!』
 
アハハ、って笑って言ったらど突かれた。
叩かれたとこがちょっぴし痛い。
 
『なんだよー留ちゃんー』
『それは俺も共に死ね、と言っているようじゃねえか』
 
バーカ。
 
『だってさ、最期くらい好きな人と死にたいじゃん。そうなれば私、きっと幸せだろうなあ』
 
『ねっ、留ちゃん』
 
…あれ?
 
なんか、
 
『俺は死ぬ気なんざ更々ねえよ。勝手に殺すな…お前も死ぬとかそういうことを言うな』
 
留ちゃんが泣きそうな顔。
 
『大丈夫だよ留ちゃん!』
 
私が守ってあげるから心配ないよ!
 
そう言ったらまたど突かれた。
 
『小平太、』
 
お前が――だから…
 
『え?なに?よく聞こえない…』
 
ああ、留ちゃんから涙が溢れた。
 
泣かないで留ちゃん――
 
 
「…留ちゃん……」
 
「…起きるのがおせぇんだよ、」
 
目を覚ましたら涙をボロボロ流す留ちゃんと、薬臭い部屋に。包帯だらけの私。
 
「任務帰りにお前がどっか行って…見つけたと思ったらこんな姿で…」
 
溢れる留ちゃんの涙が、綺麗だな。
 
「良かった…小平太、生きてて良かった…!」
 
そうだ、思いだした。
 
任務が終わって追っ手がいるのに気づいた私は、一人で片付けようと道を外したんだ。
 
そして、
 
「…ごめんね、留ちゃん」
 
なんか申し訳なくて留ちゃんの頭を優しく撫でたら、またど突かれた。
今度は痛くない程度に。
 
「無茶すんな、…死ぬときは、俺の隣、なんだろ?」
 
 
「…ごめんね、留ちゃん」
 
大好き、大好き。
 
 
貴方と一緒にいたいと思った。
だからまだまだ死ねないんだ。


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