タツバキ



「はい、椿。あげる」
「？ 何スか？」
「ツバキ」
「あ…ありがとうございます」
「なーんか微妙な反応」
「い、いや、嬉しいっス！」
「花嫌いだった？」
「そんなんじゃないっスけど…」
「ん？」
「これ…花もぎ取ってきたんスか？」
「そんな俺が悪いヤツみたいな目で見ないでよ」
「だ、だって…」
「ツバキが咲いてたの見たらお前を思い出したの。喜ぶと思ったから取ってきたのにー」
「あ、えと、すいませんっ」
「まあすぐ枯れると思うけど」
「ええ…そんな…、あっ」
「何？」
「それなら、押し花にしますよ」
「押し花ぁ？」
「はいっ、俺ちっちゃい頃よく作ってたんで作り方知ってますし」
「ふーん」
「それに、せっかく監督が持ってきてくれたのに…その、もったいないというか…」
「(モジモジしてる)」
「あ、出来たら監督にもあげますよ！ちょうど赤白ありますし！」
「あ、ホントー？」
「…ん、そういえば何で二種類も取ってきたんスか？」
「にひひー、知りたい？」
「ウ、ス」
「まあ特に意味はないけど」
「えっ」
「花言葉がね、」
「は、花言葉、っスか？」
「そうそう。椿の花言葉。赤が控えめな愛、気取らない美しさ。で、白が申し分のない愛らしさ、理想的な愛情、なの。」
「はあ…」
「お前には赤が似合うよ、椿」
「そ、そっすか、？」
「だから白は俺がもらう」
「あ、はい、わかりましたっ」
「次はバラでも持ってこようか」
「え、」



後日バラは王子様が持ってきます