ジノバキ



「バッキー、ちょっと付き合ってよ」
「、はい?」
「どうせ暇でしょ?」
「は、はあ…」



「…で、どこに行くんスか?」
「ンー、そうだなあ」
「俺、王子の車初めて乗りました」
「ふふ、そうだっけ?」
「外車なんて、王子とつ、付き合ってなきゃ、乗れませんでした」
「マセラッティはね、僕の愛車なんだ」
「マセラッティ…」
「僕の隣に座らせるのは特別な人って、決まってるんだよ」
「特別な、」
「わかってる?バッキーだけなんだよ」
「はっ…は、い!」
「アハハ、顔が真っ赤だ」
「だ、だって王子が、そんな…」
「僕は本心しか口に出さないよ。バッキーだって、顔に出るじゃない」
「これは、仕方ないんです…!」
「フフ、可愛いね」
「うう…っ」
「ホラ、着いたよ」



「…ここは」
「海。なんとなく、見たくなっちゃってさ」
「はあ…」
「でも少し寒いかな?」
「まだ、三月ですから」
「ちょっとバッキー、僕を暖めてよ」
「は、はい!?」
「君って体温高いでしょ?」
「さ、さあ…どうでしょう」
「ふふ、まあいいさ。君は動かずに、僕に抱き締められてなよ」
「わっ、王子、」
「絶壁で恋人と抱き合うなんて…なんだか駆け落ちしてきたみたいだね」
「か、駆け落ち?」
「結婚を許されない相愛の二人が、ひそかによその土地に逃げ隠れることだよ」
「そうなんスか、」
「僕は、バッキーとなら駆け落ちしてもいいかな」
「えっ」
「ハハハ、冗談だよ」



逃げ隠れなんて王子様はしないよ




 


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