君とラムネ | ナノ
私も寝ることなく式も無事に終わり、体育館から退場し、再び教室へと戻ってきた。すぐに担任であるエルヴィン先生が入ってきて自分自身の紹介を始めた。数年前からこの進撃高校にいるらしい。スーツも似合うし、なかなか若い先生だ。スーツ好きの私にはかなりの好印象。先生に恋をするとか少女漫画で昔読んだことがあるけれど、実際にもあり得るかもしれない…。ナナコが目を輝かせながらエルヴィン先生の話に耳を傾けている間、隣に座っているジャンは人を小馬鹿にするような目でナナコを見ていた。


「…とりあえず、私の紹介は以上だ。残りの時間は皆に簡単に自己紹介をしてもらおうと思います」

新学期恒例の自己紹介タイム。この学校では、クラス替えが無いためこれから三年間卒業するまで一緒のクラスメイトになる。じゃあ、廊下側の一番前から、と指名されて一人一人が名前や出身中学、趣味、所属していた部活など各々好きなように紹介していった。


「俺、コニー・スプリンガー!ウォール・ローゼ南中出身だ。えーっと、勉強は嫌いだ!」

「サシャ・ブラウスです!好きな食べ物は食べられるもの全部です、特に芋が好きです!」

「マルコ・ボットです。ウォール・ローゼ中学のバスケ部で副部長をやっていました」

流石は例の二人、初っ端からぶっ飛びすぎだ。クラスに笑いの渦を巻き起こした。その反面、マルコは安定していてお手本のようだ。照れ笑いが可愛い。


「エレン・イェーガーです。シガンシナ中出身で、えっと、チーズハンバーグが好きです!」

「アルミン・アルレルトです。同じくシガンシナ中学校出身で、運動は苦手だけども皆と仲良くしたいです」

チーズハンバーグ?私も大好物だ。今度あの子とチーハンについて語り合いたい。アル…名前が難しいな。でもとてもいい子そうだ。頭も良さそうな顔をしている。


「ミカサ・アッカーマンです…私は、エレンと同じ。好きなものはエレ「ミ、ミカサっ!落ち着いてよ!」

ミカサちゃん!?すっかりエルヴィン先生に気を取られてて気付かなかった。ミカサちゃんの前の席であるいい子くんが頑張っている。うん、本当にいい子。あの三人は仲がいいのか…。ジャンはチーハンくんを睨んでるように見えた。余計顔が怖く見えるからやめればいいのに。


「クリスタ・レンズです。えっと、みんなと楽しく学校生活を送りたいです」

「私はユミル。クリスタに手出したら承知しないよ」

クラスの男子の殆どがクリスタちゃんの自己紹介でやられたと思う。最後のよろしくね、と天使のような微笑み。私もやられた一人だ。しかし、その後のユミルちゃんの言葉により全員凍りついた。


「ライナー・ブラウンだ。出身はここから遠いが、今は一人暮らしをしている」

「ベルトルト・フーバー、です。同じく出身が遠いため一人暮らししてます。バスケ部入ってました」

二人ともジャンが全国大会に行った時に見たことのある人物だった。背も高いし大人びているため、同い年には見えなかった。まさか一緒の高校になるなんて思いもよらなかった。


「…アニ・レオンハート。格闘技なら好き…」

私のもう一人のお隣の子は美人さんだった。でも格闘技が好きだと彼女は言っていた。名前も格好いいし何だか強そうなイメージがある。


「ナナコ・ナナシです。陸上やってました。よく遅刻しますがよろしくお願いします!」

「ジャン・キルシュタインです。マルコと一緒にバスケ部でした」


私も無難な紹介をして、最後のジャンで終わった。キャプテンだったこと言えばよかったのに。ミカサちゃんにアピールできると思うのだけど。いつも自慢ばっかしてる癖に。


その日はこれで下校ということで皆早々と教室を後にした。随分個性的なメンバーが揃ったクラスだ。これならきっと楽しい思い出も作れると感じた。明日から授業も始まるし、頑張ろうと思う。まずは今月だけでも遅刻しないようにしなければ、と目標を立ててみた。

帰りもジャンが漕ぐ自転車の後ろに乗せてもらい、ゆっくり、ゆっくりと穏やかな風を感じながら家を目指した。


ハロー、ハロー



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