浜辺を進む。段々と、小さかった砂がごろごろとして足場の悪い砂利に変わり、気づけば其所は磯の岩場であった。

腹の辺りまである岩が幾つも並び、ごつごつした黒い表面に苔や海藻が貼り付き、フジツボやら見慣れぬ貝やら虫やらがびっしり並ぶその肌。元々幼少の頃にも磯遊びなどした事もない私にとっては、どうにも不気味な印象である。その岩の隙間や窪みには、満ち潮によって出来た潮溜まりがあり、また対象的にきらきらと、日に反射して輝いていた。
私はふと目の前にあった小さな潮溜まりの1つを、恐る恐る覗き込んだ。
それは岩の窪みに出来た浅い20センチ程の小さな潮溜まりで、澄んだ海水に赤茶けた海藻が2つ、浮いている。
そしてその水底には、魚の鱗が数枚、沈んでいた。

私は思わずどきりとした。
爪くらいある大きい鱗。
まさか、これは…、


否、そんな筈はない。
私は冷静さを取り戻そうと息をついた。

そんな偶然がある筈は。
まさか、【あの子がまた此所に現れた】なんて事は!



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