青白い月を浴びながら
茨は刺を以て誰かの手を紅くけがそうと
花束の中に隠れ
人が来るのを待っていた

けれどやって来た彼の人の
諸手は既に紅くけがれ
茨は深く同情し
失念して自ら身を枯らした

花は朽ち刺は落ち

茨はひっそりと死に逝く
絢爛極まる花束の
奥に埋もれて


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