導火の後

ある夜から、ガラス球が衝突によって砕ける事さえ悦んだ。
哭いても仕様がないのに、ひとつにはなれないのに。

まるで知らない、仄明るい迷路を彷徨う内に。
はしり火、彗星の尾ひれ、その燐光を追うように日脚は過ぎる。

引力ほど恒ではない磁力のような等しい双方向性もない、何らかによって、今。
もう戻れない事にはどちらも、気づいてしまったのだから。

[ 71/106 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -