小国のお姫様とそれに仕える召使がおりました。

召使はお姫様に淡い恋心を抱いていました。
それゆえ、お姫様が望めば彼は何だってしました。

お姫様が望むのはキラキラしたものでした。だから召使は世界中のキラキラしたものを集めました。
宝石やアクセサリー、洋服や食べ物から…キラキラする物を彼は一通り集めたのです。

ある日お姫様が空を見て涙を零しました。
召使がどうかしたのかと聞くと、お姫様は夜空を指した。

「こんなにも沢山あるのに、手を伸ばしてもあれには届かないのね…」

召使はそんなお姫様の姿に胸が苦しくなりました。

「姫様があれを望むと言うのなら、私が差し上げます。」

そう言う召使にお姫様はそんなことが出来るの?と聞きました。
すると召使はどこからか水の入った容器を持って来ました。

「そんな物をどうするの?」

お姫様の言葉に、召使は夜空の下にそれをさらしました。
容器の中には水面に写った月や星が溢れました。










「嗚呼、とても綺麗だわ…」