私の世界は好きなモノと嫌いなモノとどうでもいいモノで分かれてる。彼女は好きなモノだった。
病的にも見える白い肌に、痩せすぎな身体。ストレートの黒髪は絹糸の様に柔らかく、周りと違う色素の薄い碧い瞳はガラス玉の様で本当に見えているのかと心配になる。実際、彼女には見えすぎる位なのだけど。

「視線が痛いですね。何か御用ですか?」

そう言った彼女は手中の文庫本からは一度も視線を外さない。視野が広いと聞いた事はあったが一体どれほど見えているのか。私は返事をしなかった。彼女に顔を上げさせるためだ。
私を、私を、顔を上げて、私を…

「不毛ですよ」

私が、返事をする気がない事に気づいたのか、彼女は文庫本のページを捲りながら話を始めた。ほんの一瞬もこちらを伺うなんて事は、しない。

「あなたのそれはどうせ思春期特有のものなのです。ただ性別の違いから逃げているだけ、」

細い指がページを捲る。物語はもう終わったのだろう残り3ページ。後はきっと後書きと作品紹介ページだ。

「思春期なんてあと数年もしたら過ぎるのだから、好きにするのも構いませんけど、本気ならそれは不毛なだけ。まぁ、本気でないのならお付き合いくらいはして差し上げますが、」

ぱたん、と本を閉じる。彼女は漸く顔を上げた。
ガラス玉みたいな彼女の瞳は私をみている様で、しかし全く私をみてはいなかった。

私の世界は彼女と私と異性に分かれてる。私にとって男はどうでもいいモノだ。


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