2011/09/01 00:00


朝、仕事が入っていないはずなのにマスターに呼び出されて、また急な仕事でも入れたのだろうかと溜息をつきながらもマスターの所へ行くと段ボールを手渡された。



「なんですか?これ」
「誕生日プレゼントだよ」



そう言われて今日が誕生日だと思い出した。中を開けてみれば今までお世話になった絵師さんだったり動画師さんだったり。プレゼントが絵や詞なのはさすがと言ったところだろうか?それらを部屋に持ち帰ると一つ一つを眺めてみた。ふざけたものもあったけれど皆からの気持ちのこもったプレゼントに思わず笑みが零れる。
しばらくそうしていると部屋の扉が控え目にノックされる。



「どうぞ」



返事をすれば扉が少し開いて白いリボンが覗く。誰かなんてわかりきっているけれど、「リンちゃん?」とあえて疑問符をつければ今度は顔を覗かせた。



「リンもミク姉にプレゼントあるんだけど…入っていい?」
「変なリンちゃん、どうぞって言ったのに…。プレゼントって?」
「えへへ。あのね、これ」



そう言って差し出されたのはクローバー。



「あ、あのねマスターにミク姉の誕生花だって聞いてね、四つ葉を探してたんだけど見つからなくて…」



申し訳なさそうに眉を下げて言う彼女に私は首を振った。



「ううん、嬉しいよ。私は四つ葉じゃなくても幸せだもの」



彼女と一緒にいれると言うことが今の私にとって何よりも幸せなのだから、口には出していないからどう解釈したのかはわからないけれど、彼女も理解してくれた様で「良かったあ」と微笑んだ。



「ところでリンちゃんクローバーの花言葉しってるの?」
「もちろん!【約束】だよね?」
「え?」
「あれ、違った?」
「あ、ううん違わないよ」
「良かった。それでね、花言葉にちなんでミク姉と何か約束しようと思うの、だからリンと約束したい事ある?」
「約束…」



一つ、彼女としたい約束がある。けれどそれは不確かな約束にしかならないような気がして言うのが躊躇われた。屈託のない彼女の笑顔を私が見ていられるのもそんなに長くないのだろう。だからこそ、彼女からのクローバーは私にとって何よりも素敵なプレゼントだった。彼女は知らないのだろうけれど。クローバーのもう一つの花言葉。



「じゃあ今度デートしようか」
「うん!約束ね」



clover
(私を思って)



彼女の誕生日には四つ葉のクローバーを贈ろう。
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