SHORT


「ね?ね?青峰君!美味しいでしょ?」

青「んん・・・普通」

「は?なにそれ?普通にムカツくんだけど」


ブスッとした顔で俺を睨む名前の手には
まだ俺の手のつけていないおかず共が弁当箱に並んでいた。
俺が良が作る弁当を絶賛していたら何故か名前が良に対抗心を燃やし
俺に弁当を作ってきやがった。

食えなくもないけど良のと比べたら・・・


「桜井君にせっかく教えてもらったのに・・・」

良「一緒に卵焼き作ったんですけど...美味しいですよ?苗字さんのお弁当」

青「良の卵焼きなら食うけど」

良「え?あの、すみません...どうぞ」

桃「青峰君サイテー!!名前ちゃん青峰君のために頑張って作ったのに!」

青「名前より料理できねぇ奴がそれ言うなよ」



「最低!!ゲス峰!!」という名前の声を聞きながら
良の弁当の半分以上を根こそぎ持っていく。
最低、最低言うくせに俺に弁当作ってきたり部活に強制参加させたり
正直、名前は俺のことが嫌いなのか大好きなのか分からない。

嫌いならこんなに妙に近づいて来たりしねえだろ普通。



青「うっせえな。もうゲス峰でいいから弁当よこせよ」

「え?食べるの?」

青「だって仕方ねえだろ。作ってきちゃったんだし。食わなきゃもったいねえ」

「・・・べ、別に嬉しくないけどゲス峰が食べたいって言うならくれてやらなくもないし、」

青「あ?なんだよお前。あとゲス峰って言うな」

良「良かったですね苗字さん!朝から一生懸命作って!」

青「俺にわざわざ料理作ってくるとかお前俺のことどんだけ好きなんだよ」



あー、やっぱ良のが美味いわ・・・と思いながらも
そんなこと言ったらまたゲス峰とか言われるし間違いなく名前を泣かせてしまうのでやめた。
そして代わりに確かめるつもりで「どんだけ好きなんだよ」と言ってやった。


「は?あんたのことなんかずっと一緒にいたいくらい嫌いだバーカ!!」

青「あ?俺もだよバーカ」


だから毎日弁当作ってこいよ。一緒に食いたいから。
・・・なんて言えない俺を俺は大嫌いだ。
だから早く好きって言わせろよな?

-END-



  

目次へ戻る