変態マネージャー


―名前さんが僕に気付いたのは5月に入ってからだった。


黒「あの、手伝いましょうか?」
 『『ひッ!!』』

僕は既に赤司君に見込まれて新人戦にも出場するはずでしたが
それまで名前さんは僕のことを知りませんでした。


 「・・・えと・・・バスケ部の人・・・?」
黒「え?新人戦にも出ますけど?」
 「うそ・・・」
黒「すみません、マジの話です」
 「名前は・・・?」
黒「黒子テツヤです」


“黒子君・・・”と小さく呟いて僕のことをパチクリと見る彼女。



・・・絶対、分かってませんよね



もう慣れっこなはずでしたが軽くショックを受けたあとに僕は彼女の運んでいる給水器を指でさした。


黒「あの、今は僕も暇なので手伝います。重いでしょう?」
 「大丈夫だよ!!私、隠れマッチョだから」
黒『どこがですか』


僕を見て驚いたときに傾けた給水器を持ち直しながら彼女は「本当に大丈夫だからさ、」と言ってフラフラし始めた。


黒「足、フラフラじゃないですか。」


僕は彼女の給水器を半分だけ持った。2人でも十分な位、重量感はあった。


 「黒子君、見た目は“ヒョロ男君”なのに力あるね・・・」
黒「ヒョロ男ってなんですか」
 「もしかしてロールキャベツ男子?」
黒「え?」
 「純粋ぶって実は肉食系?」
黒「あんまり肉は食べませんけど・・・」
 「ピュア男子だけど肉食!!キタコレ!!!」


給水器を持って所定の位置まで運ぶ間ずっと話してましたけど・・・

―まったく話が噛みあいませんでした。



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