変態マネージャー

―ドッシャァァァァァァァアアンッ!!


黄『うおッ?!』


近くに雷が落ちた。こんなボロい所で今日寝ると思うと不安ッスね。


黄「名前っち!!どうしたんスかあ?」


・・・・・・・・・・・。


部屋の前で名前っちを呼ぶが返事は無い。雷のゴロゴロとした音が遠くから聞こえてくるだけ。
さすがに俺も焦った。名前っちに本当に何かあったのかもしれないと...


黄「名前っち・・・?入るッスよ?」


ドッシャァァァァァァァァアアン


 『ヒッ!!』
黄「名前っち・・・・?」



そこには布団にくるまり、部屋の隅で小さくなりながら半泣きしている名前っちがいた。

黄「どうしたんスか?!」
 「黄瀬くッ――」

ドッシャァァァァァァァァアアン!!!


『・・・ヒゥッ』

微かに小さな悲鳴をあげた名前っちに近づきかがみこんで名前っちの様子を見た。


黄「・・・名前っち、もしかして雷が怖いんスか?」


布団にくるまりながら名前っちは両手で耳を塞いでいた。
しかし俺の声はちゃんと聞き取れたらしく俺の質問に答えるかのようにコクリと頷いた。


 「でも皆には言わないで・・・」
黄「どうしてッスか?言わないと心配かけたままになっちゃうスよ?」
 「気、遣わせちゃうから。雷なんで一瞬で明日になれば何でもなくなるのに・・・」



ゴロゴロ・・・ドッシャァァァァァァァァアアン



『キャッ!!』
黄「だから元気なかったんスね・・・今日の予報見て雷雨になるのが怖かったんスね・・・?」
 「・・・・・・ごめんね、心配させちゃって」
黄「でも1人でいたら逆に怖いんじゃないスか?」
 「・・・・・・」


名前っちはフルフルと横に首を振った。


 「・・・私は大丈夫だからさ、黄瀬君も皆のとこに戻って・・・」
黄「出来る訳ないッスよ!!俺はココにいるッス」
 「マジで馬鹿みたいに叫ぶから・・・・・・早く行ってよ」
黄「いいッスよ別に。1人にさせとくよりはマシッス!!」



ゴロゴロ・・・バキバキバキャアアアアアアア!!




『・・・キャァッ!!』


近くに落ちた大きい音の雷と光に驚き名前っちは俺の腕にしがみついた。
・・・なんだ、ちゃんと女の子なんスね、
って安心しながら不覚にもこっちが意識してしまった。俺の馬鹿!!


黄「名前っちが雷怖いなんて意外でしたッス」


気を紛らわすためにも俺は名前っちに話しかけた。
黙ってたらマジで意識しちゃうッスからね。本当に俺って馬鹿ッスね


 「・・・・・・音が・・・ね?」
黄「じゃあ音が聞こえなくなればいいんスよ!!」 
 「・・・どうやって」
黄「こうやってすればいいんスよ」


俺は名前っちの隣に座り、耳にイヤホンを差し込んであげた。
俺が合宿でこっそり持ってきた音楽プレイヤー機器がポケットに入っていたのを思い出したのだ。
ガチャガチャとロックミュージックの音楽が機器から洩れてくる。


黄「音量、大丈夫ッスか?うるさいッスか?」
 「え?」


イヤホンをしててなんと言ったのか聞こえなかったのか片耳のイヤホンを外して名前っちは聞き返す。


黄「音量・・・デカ過ぎたりしないッスか?」
 「雷よりはマシだよ」
黄「そッスか、」

ニコリと笑いかけると名前っちも微笑み返してくれた。

・・・あ、ヤバイッス!
俺、名前っちと近づけたかも。ってか近づきすぎたかもしれないッス。

なんとなく安心した俺は合宿の疲れもあったために深い眠りについてしまった。


<<>>

目次へ戻る