緑色のドアの前で私とギャリーは座り込んで考える。

蹴破る事を許してくれなかったから、また一から向こうに行くしかない。



「見落としがあったかもしれないから、嫌だろうけど…もう一度さっきのところに行きましょう。」



『アタシも居るから、大丈夫よ名前。』と私の頭を撫でようとしてやめた。

ついさっきの私の反応が強く印象にあるのだろう、きっとまたびくついてしまうと思ったにちがいない。

私は別に構わなかった、あれは驚いてしまっただけのことだから。


見なかったことにするように私は立ち上がって真っ黒い手を避けながら歩く。


そして鮮やかで可愛らしい、と言うのも変なんだが…虫の絵を通り過ぎようとしたときギャリーに止められた。



「こんなことにアリなんていたっけ?」


「……アリ…?」



ギャリーの言葉に私は地面を見る。

薄暗くて見えにくいが、確かにそこに小さなアリがいた。

私はしゃがみ込んでアリをジッと見詰める。

すると、私の視線に気づいたアリが見つめ返してきた。



「……。」


「…ぼく、アリ。」



いきなり頭に響くように聞こえてきた声に私はギャリーを思い切り振り返りながら見る。

私の行動に驚いたギャリーは片目しか見えない目を目一杯開いて『…え?何よ?』と頭に響いた声とは全く違う事に私は困惑した。


…アリの声が聞こえたなんて、そんなのギャリーに言えるわけがない。



「……名前?」


「…なんでもない。」



どうしよう、アリとお話出来る能力が私の中にあるというのだろうか。

もしかしたらこの特殊な場所だから聞こえるのか、そうだとしたらそうであって欲しい。


アリに話し掛けてアリとお話できるなんてそんなの必要のない能力だし、ましてやアリの声が聞こえるなら普段私達が生活してる中でも煩いくらいに聞こえてきてるだろう。



「ぼく、絵、だいすき。」


「……絵?」



アリの言葉に首を傾げればアリは『うん、絵、だいすき。ぼくの、絵、かっこいい。』と小さいながらも人なら多分瞳を輝かせてるんだろう、声がちょっと弾んでいる。


絵、と聞いて私は立ち上がっててんとう虫などの絵を眺める。

アリは自分自身の絵が見たいのだろうか?

そうだとしたら、なんというナルシストなんだろうか…自分かっこいいとか、まるで…。



「………。」


「…ちょっと名前、さっきから何よ。アタシばっか見て……そんなに変なところあるの?」


「…別に、なんでも。」



言ったら怒られそうな気がする。










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