「お姉…さま…って、名前、あんた…まさか…。」


「本当、なの…?」



抱きついている女の子を受け止めたまま、私は二人を見る。



「…ごめん、二人は…。」


そこまで言って抱きついていた子は『そうだよ?お姉さまなの、あたしの。』と更に強く抱きついてくる。

そんな姿を見て私は二人に目を向けると絶望なような、怖いような顔をしていた。

なぜだか、二人のその顔に胸が締め付けられるような感覚がしたのはなんでだろうか…そんな考えをしていたら、手に持っていた赤いバラを愛おしそうに見つめて花びらをちぎろうとした。



「…め、ありー…?バラ、ちぎってはいけない…のよ。」


「え?なんで、お姉さま?」


「バラがかわいそう。痛いって、言ってる。」



私がそう口にすれば、少し離れた場所でまだ私と女の子…メアリーを呆気とした表情で見てきていた。

すると、背の高い人が近付いてきて自分の持っていた青いバラをメアリーに差し出して『交換、しましょう?』と無理しているような笑みを浮かべた。



「いいの?ギャリー?」


「ぎゃ…りー…、…?」



メアリーの口から名前が出された時何かが私の中にあったけれど、それがなかなか出て来ない。

ギャリーと呼ばれた人はメアリーにバラを渡そうとしたが、私はギャリーからバラを無意識に取っていた。

私の行動に二人は驚いていたが、私はメアリーに優しく微笑んで自分のバラを渡した。



「私、青いバラが好きなの、交換しましょう?メアリー。」

「でも、あたしの方が青いバラ…好きなの。」

「…そう、じゃあ……。」



メアリーの言葉を聞いて、私はそのまま自分のバラとギャリーのバラを持ってメアリーから離れた。

その行動が分かったのか、メアリーはさっきまで可愛かった表情がどんどん怖くなってそのまま突進してきて私のバラとギャリーのバラを奪おうとした。



「っ…離、して…!」


「やだ!お姉さまが離して!黙っていれば、お姉さまはとっても大好きなのに!お姉さまは自分の立場を分かってない!!」


「な、何を…っ?」



話の意味が分からなくて睨むように見つめたらやっぱりと言いたげな、あの時見たような、笑みを浮かべる。



「ふふ、うふふ…あは…あははははは!!!!名前お姉さま名前お姉さま!!!自分が誰かなんて、考えてないあたしのお姉さま!!あはははは!!」


「え…っ!?」



ひとしきり笑ったあと、少し深呼吸した後私をジッと見て『大好き…お姉さま。』と、今までとは違う声音でそう囁いたと同時に私の首にゆっくり手を添えて、徐々に力を入れてきた。

どんどん、意識が遠くなっていく。



「ぅ、あっ…、あ…り…ぃ…めあ、りー…。」


「お姉さま…大好き…大好きよ…ずっと、ずーっと、一緒…一緒って、言った、のに…。」



そう呟くメアリーに何が何だか分からないまま、何故か私は涙を流していた。











人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -