「いち、にー、さん、よん…。」



どこだか分からない部屋でかくれんぼというなんとも本当によく分からない光景に、私は少し不思議に思いながらも数を数える。

隠れる音、といえばいいのか分からないが…そんな移動する音がして、私はだいたい数え終えた時には物音一つしなくなった。


ゆっくりと振り向いて、部屋を見渡すが流石人形なだけあってどこに隠れたか分からない。



『みつかるかな?みつけてくれるかな?ふふっ』



人形達の声が微かに聞こえてきてそっちに行ってみて探し始めたら声が聞こえなくなった。

入念に探してみたら、一人と言うべきかは分からないけれど、見つけた。

見付けて抱き上げたら『みつかっちゃった、ざんねん…』と声が残念そうに落ち込んでいたが、私は人形を抱いたまま他を探す。

どれだけ時間が経ったのだろうか、なかなか見付からず私はしゃがみ込んだ。



『名前?つかれたの?ねえ、つかれた?だいじょうぶ?つまらない?こうさん?』


「……疲れた。」



ぽつりとそう呟けば腕の中にいる人形は私の頭を撫でようと背伸びし始めた。

すると、ざわつき始めて隠れていた人形達が出てきた。



『ずるい、ずるいよ、ひとりじめ、だめ!あげない、名前、あたしの、だめ。』


『ちがう、みんなの、だめ、ひとりじめ、だめなの。』



いきなり争い出したので、私は落ち着くように言うとなんとかみんな私を囲んでいろいろ話始めた。

しかし、話の内容は私には理解できない言葉で突然話し出したので、ついていけなくなった。


暫くして大きめの青い人形が思い切り私の方を振り向いたかと思ったら目の前に移動してきた。



『かくんぼ、しっぱいした、だから、でられない。』


「……。」



言葉を聞いてジッと見詰めていたら小さな青い人形が『ずっと、いっしょ、名前、すき、そばにいて?』と近づいてきて服を握ってくる。

どんなに約束でも、私は出なきゃいけない。

私はごめんと呟いて立ち上がって出口を探そうと思ったら周りの雰囲気が一変した。


何事かと周りを見回したら、青い人形達はいなくなっていて、少し寒気がしてきた。

思わず私は走り出して出口を探すが、なかなか見当たらない。



『いかないで、名前…ずっと、ずっと、ここに。』



出口が見付からず壁にぶつかった私は後ろを振り向いた。




そこには無数の人形が私を追い掛けてきていた。











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