『ね、名前、あそぼ、いっしょに、あそぼう?』


「やだ、私そんなに暇じゃない…。」



暫くして連れて来られた場所には小さな青い人形や赤い人形が数個と大きな青い人形が1個。

私はそれを目の前にして何故か会話していた。

さっきから遊ぼう遊ぼうと繰り返しては私はそれを断っている。


小さな青い人形はなんだか悲しそうな表情をしているような気がして見詰めるが、なんだか気味の悪い人形なせいかすぐに目線を逸らす。


すると暫くして青い人形が少し体を揺らすように震わせたと思ったら多少固いながらも動き出した。



『ねえ。名前、あそびたい、あそびたいな、だめ?ねえねえ、名前?』


「……。」



一歩一歩ゆっくり進んできて、座る私の膝を叩きながら首を傾げさせて必死にお願いしてきた。

気味の悪い人形でも、こんな風にされると私も断れない。

今だに『あそぼ、ね、ねえ?名前ー?』とねだってくるのをまだ私は見詰めていた。



『あたし、名前、すき、あそび、たい。さびしい、みんな、みんな、さびしいの。だから、あそびたい、な。だめ?』


「…私は今早くここを出なきゃだめなの。」



『お願い、分かって?』と言えばジッと見上げるように私を見たあと落ち込んだのか下を向かれてしまった。

何故かその姿に心が痛む。

しかし、今私がやらなきゃいけないことが他にあるから、遊んではいられない。

なんとしてもここから出なくちゃ。


そう思い立ち上がろうとしたら青い人形が『やだ、やだ。いかないで。』としがみついてくる。



『やだよ。名前、いかないで、おねがい。やだ、やだやだ。さびしい、さびしいよ。だめなら、つれていって、おねがい、名前、やだ。』



『名前、名前、ねえ。』と私の名前を何度も呼ぶので、しゃがみ込んで青い人形を抱き上げる。

喜んだのか、私の名前を呼ぶ声が弾むのが分かった。

でも、やっぱり、連れては行けないし立ち止まれない。



「ごめん、ごめんなさい…。でも、一度だけ、なら…遊ぼう。そしたら、ここから出して?」


『名前、名前ありがとう。すき、だいすき、かわらない、やっぱり、名前、やさしいね。』



その言葉に何かが引っ掛かったけれど、私は気にすることなく一度だけかくれんぼすることになった。












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