「いい?無理だって分かったらすぐに出るのよ?」


「…うん。」



さっきから何度もギャリーが私の両手を握りながら同じ言葉を繰り返しては『ああもう、心配なんだから…』と小さく呟く。

そんなギャリーに私は呆れながらも聞いていたけれど、そろそろ我慢出来ずに少し背伸びしてギャリーの頭を撫でる。

もちろん私のいきなりの行動に驚くギャリーを気にすることなく撫で続けた後『私は大丈夫。』と言って、部屋に入った。


バラが散ったって死にはしないだろうと思う私はガスを吸っては散るバラを気にする事なく部屋を見回す。

すると傘が一つぐらいしか近くになかったので、それを手にとって再度見回すと絵の具玉があったので軽く触れたら消えて無くなってしまった。

そろそろ体に限界が来たようでバラを見るとほぼ散ってしまっていたので急いで部屋を出ようとドアに体を向けたが、ドアノブに手を掛けた時に頭痛が起きた。

まさかこんな時に起きるとは思わなくて痛みでぐらつく視界の中でなんとかドアノブを握ったまま痛みに耐えるが、ガスの影響もあるのか体中が痛い。

そしてまた頭の中に声が響き反響するように私を苦しめていく。

『やっと、だね。』と長い頭痛の中でこれのみが聞こえてきた。

私はどうしようかと考える反面、早く外に出なきゃという思いがあった。



「名前!?」


「ぎゃ、りー…?」



思いきりドアが開いたかと思ったら真っ青な顔したギャリーが私を見てそのまま部屋から連れ出して私の手からバラを取り上げた。

私を横抱きにしながらそのまま花瓶のある場所まで走って行き、バラを花瓶に活けた。

痛みはどんどん無くなって楽になったのでギャリーにお礼を言おうとしたら思いきり怒鳴られてしまった。



「バカ!!なんでもっと早く出て来ないのよ!心配したじゃない!」


「ご、ごめ…ん。」



『バカ名前!』と言いながら今にも泣き出してしまうんじゃないかという表情で私を見るから思わずまた撫でてしまった。

撫でても変わらない表情に焦りながらもなおも撫で続けていたらやんわりと手を退けられた。



「……なんか、立場が逆みたいじゃない…。」


「…ギャリーが泣きそうだったから。」



私がぼそりとそう言うと目を見開いて『そんなわけないじゃない!』といきなり怒りだしてしまった。


なんだかギャリーを怒らせてばかりな気がするのはきのせいだろうか…。












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