「……誰?」



私は目覚めて最初の一言を少女に向けて言った。

少しきょとんとした後『イヴ、よろしくね…名前。』と笑顔で言ってきた。


ギャリーはイヴと出会った経緯を教えてくれた。

あの本が沢山あった場所で絵本を読んでいたら鍵が開いて進もうと思ったら私が起きず、おぶりながら部屋を出てある部屋に入ったら二人ともバラを盗まれてしまい、倒れていた所にイヴが私とギャリーのバラを救出と言うのもおかしいが、命の恩人であるらしい。

それでもなかなか目覚めない私をギャリーはおぶって進み、今はある部屋で落ち着いている。



「…よろしく。」


「うん!よろしくね、名前。」



そう挨拶を交わしたあとイヴは本を見て回るように離れていった。

ギャリーは私の隣に座って本を読むイヴを見詰めながらも私の頭を撫でてぽつりと話し出した。



「あの子…見た目はあんなに逞しくて強い子だと思っていたけど、本当は凄く心細いんだと思うのよ。」


「…なんで?」


「名前がまだ眠ってる間にあの子の両親と思われる絵を見たわ。あんなに寂しそうな目をしているのをアタシ、初めて見たもの…。ついさっきだって、あんたが目覚める前にイヴも眠ってて、悪夢を見たみたいなの。きっと、怖いのに我慢してるんだわ。」


「……。」



話終えたギャリーから目線をイヴに向けると、興味津々のように何かの本を手にとって読んでいた。

あんなにも動じなさそうな子が…そう思っていたが、思い直せばあの子はまだ子供、怖いと思うのは仕方ないし怖がるのが普通の子供だ。


私は少し、羨ましく思ってしまった。

私にも、あんな風に怖く思ったり悲しく思ったりできたらと…そんなのはただ羨ましいだけであって実際は私も悲しんだり出来るし怖く思うことも出来る。

でも、何故ここにいるとそんな感覚なくなるんだろうか。


もしかしたら、一番異常なのは私なのかもしれない。

こんなにも怖い場所で辛い場所で精神が参ってしまう場所なんて、普通で居られるのは変としか思えない。


それに、どうして、私は……。



「ギャリー、名前、そろそろ行く…?」



ふと、考えていたらイヴが私の前にしゃがんでそう言ってきたので考える事をやめて頷いた。

ギャリーも頷いて三人で部屋をあとにして外に出た。


…何故、私が真ん中で両側で二人と手を繋いでいるのかが一番変に思った。











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