とりあえず私とギャリーはさっきの真っ黒い手のところを通ろうとしたら、アリが私の足元にいたのでどうしたのかしゃがみこんで見ていたら『ぼくの、絵、どうなった。』と寂しそうに言っていたので私は何も言わずに立ち上がって心配したギャリーの手を取って真っ黒い手の道を歩く。


そして、緑色の鍵を使って、次の部屋に進んだ。


そこで私は頭がまた痛くなってきて思わずしゃがみ込んだ。


またノイズが頭の中を侵食するように響く。

なんで、こんなにノイズが響くのだろうか。



「名前…?大丈夫…?!」


「だ…いじょう、ぶ…っ…。」



ギャリーの声でさえもノイズが混ざる声が響いて余計に頭が痛くなってそのまま私は倒れ込みそうになったが、ギャリーが私の体を押さえて猫の形をした壁の右側に私をよっ掛からせた。

そっと私を覗き込むように見てくる。

すごく、心配させてしまっているのに…私は今頭が痛くて仕方ない。

その時頭の中に、ノイズとはまた違ったものが響いた。


それは声のようにも聞こえるけれど、声じゃないかもしれない、そんな曖昧で微かなものだった。



――――……か…た………。


――――――……き、……ね……ま…、ぁ……。




誰だか分からない、分からない筈なのに。

私は口パクで何かを言おうとしていて、どうしても言いたいようで、でも言えない。


傍にいるギャリーは私の変な行動にどうすればいいのか分からない様子でいるのが、うっすらと開く瞳の間から見えた。


わけの分からない声が響いた後、ゆっくりとノイズも消えていきなんともなくなった。


なんとか収まったのを確認してギャリーに謝った。

心配を掛けてしまったことに申し訳なくなって、ギャリーの顔が見れない。



「ごめんなさい…。」


「どうして謝るの?」


「え…でも、…。」



こんなところで止まってちゃいけないのに、私が頭痛を起こしてしまったせいでこうなってしまった。

だから、…とそのことを言おうとしたら唇に綺麗な指があてられて、話せなくなる。


ギャリーは優しく微笑んで『アタシ、そんなことで怒ったりしないわ。』と言って続けた。



「そりゃあ、最初は驚いたわよ?ここに来た時も倒れてたし…いきなり倒れちゃうし…。でもね、それを我慢させてまで先に進みたいなんて思わないの。だから痛くなったら遠慮なく言うのよ?」



『わかった?』と言って私を見てくるので、小さく頷けばまた優しく微笑んでくれた。


ああ、私はここにきて彼のこの笑顔に助けられてきたんだ。


安心する、すごく…。



…なんて、本人には言いたくないのはなぜだろうか。











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