プロローグから始まる絵を通り過ぎてドアを開けて中に入る。

すると底が抜けて通れない道があり、そこにはまるかどうか確かめてアリの絵を上に置く。

まずギャリーが通って次に私が通る。

ドアを開けて入り左側には美術館で見た、『無個性』があり、他には絵があった。

絵にはエピローグと書かれておりその付近には緑色の鍵が落ちていた。



「きっとこの鍵であそこのドアを開けるんだわ、よかったー…見付かった…。」



一息ついて行こうとドアに向かった時に『無個性』が微かに動いた。

ギャリーは無個性を背にしている為な、気付かないようで私はギャリーの腕を掴み走り出した。

いきなりのことで驚いた彼はこけそうになりながらも、ひっばられるがままに走った。



「ちょっと、名前…!?どうしたの……よ…!?」


「無個性が…追い掛けてきてるの…っ」



『それは把握できたわよ!なんで動いてるのー!』と泣きそうな声を上げながら走る。

するといきなりギャリーが私を抜かしたかと思ったらそのまま抱えて走った。



「ギャリー…お、降ろし…っ!」


「こっちのが早いわ!ちゃんと掴まっているのよ!」



そう言ってさっきよりも早く走り、アリの絵を踏もうとしたら破れそのまま落ちる前になんとか渡りきった。

無個性はそのままこちらに来ようとして穴に向かって落ちていき、壊れる音が響いた。


ギャリーは肩で息をしながら『なんとかなったわね…。』と私を降ろしながら言ったあと、怪我がないか私の体を見始めた。


私は無個性のことよりもアリの絵よりもギャリーの行動に私は驚き、今も固まってしまっている。

まさか、そんな…そういう言葉しか頭の中で渦を巻きながら回っていた。



「怪我は無いみたいね…もう、いきなり引っ張るから驚いたじゃないの…。でも助かったんだから、感謝以外はありえないわね。ありがとう、名前。」


「……う…ん…」



ああ、あの光景が頭の中で鮮明に残っている。

どうしよう、あんなの初めてだから…今私はどうすれば…。



固まる私を変に思ったのか、ギャリーは私の顔を覗き込みながらどうしたのか聞いてきた。



「……別に…なんでも…。」


「そう?あ、いきなり襲ってきたから怖かったのね…大丈夫、アタシがいるから安心して。」



優しく微笑んで私の手を握り歩き出した。


私はそんなつもりではなかったのだけれど、ここで口に出すのには気が引けた。










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