アリの絵を探してもなかなかなくて、どこにあるのか考えてたらまさかとは思い、ギャリーを見る。

ギャリーはというと私のことを既に見ていて『何か分かったの?』と首を傾げた。

ギャリーの袖を引っ張ってさっきの真っ黒い手のところを通ると言えばびっくりした顔をした。



「え…な、なんで?」


「……向こうに用があるの。」



私はアリの事を教えたら不思議そうな顔をしながらも話を聞いてくれた。


アリを見遣ると『ぼくの、絵、見たいけど、ちょっと、遠い、とこにある。』と言っていたので、それを伝える。



「……だから、向こうに行きたいの。」


「いいけど…」



『アリと話し出来る人初めて見たわよ…。』と先程ドアを蹴破ろうとした時と同じ台詞を吐いた。

私だって不思議で仕方ない、アリと話せるなんて普段は考えもしないし寧ろ何故アリと話せるのかが謎だ。


とりあえず、ギャリーは私の手を握りさっきの場所をまた通る。


緑のドアがあった場所まで来て私はギャリーから離れて見て回る。

するとアリの絵が壁に掛かっていてこれかと思い見ていたら、外れるようになっていたので外してみた。



「これがアリの言っていた絵かしら…?」


「外せたから、多分…。」



私は早速絵を持ってさっきのところを通ろうとしたらギャリーがすぐさま私を止めて隣を歩いた。


彼はどれだけ私が心配なのだろうか…そう思いギャリーを見ていると伝わったらしく『あんたを放っておいたらすぐにバラの花びらが全部散っちゃいそうで怖いわ…。』と少し困った顔をしながら言った。



「……他人なのに、なんで心配するの?」



私の質問に答えず握っていた手に力がこもった。

それに気付く事はせず、私は歩く。


真っ黒い手を抜けてアリに絵を見せる。



「あ、それ、ぼくの、絵。」


「……よかった…。」



絵を見てうっとりするアリを見ていた私をギャリーが隣で見ている。

十分に見せた後私は元の場所に戻そうと行こうと思ったら『名前』とギャリーに呼ばれて振り向く。



「もしかしたらその絵で渡れるかもしれないわ…。」



『ほら、こっち側にあった底の抜けた場所。』と指差しながらギャリーが期待の眼差しを向けるように私を見る。

私はアリの絵を見て壊れないか確かめた。


壊れてしまったら私とギャリーは底抜けの穴に真っ逆さまだ。


小さなアリはまだ絵を見てうっとりしていた。











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テーマ「人外ファンタジー」
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