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動く奴ら

この道、どう渡ろうか。
そこでイヴが私の手からアリの絵をとり、その道の途切れている場所にかける。
そしてそのまま絵の上を渡っていった。
「ユト!道、できたよ!ここ通って。」
わぁ、イヴちゃん意外と酷いことするね。
まあいっか、可愛いし。
私がその道に体重をかけた瞬間、絵にヒビが入った。
失礼な!私そんなに重くないもん!この年齢にしてはとっても軽いほうなんだけど!
イヴよりはそりゃ・・・重いけど。
アリの絵は、踏み潰されたように血みたいなのがぐしゃってなってる。ごめん。
ドアを開ける、そこには鍵と美術館にあった無個性と、壁に絵。
エピローグというその絵は、蝶が蜘蛛に喰われる姿だった。
そいやさっきのとこにもあったね。最終章まで。その続きってことね。
イヴがかけていって、鍵をひろう。
と、イヴの前にあった無個性が・・・動き出した。
イヴは走る。無個性は追いかけてくる。
『イヴこっち!早くもどるよ!』
ドアを開け、道を渡ろうとする。いや、ちょっと待て。
『イヴさきに渡って。』
「え、何で!?早くしないと・・・」
『いいから!』
後ろのドアから無個性が来る。
ハッとしてイヴが道を渡る。渡りきったのを確認して、私は道を走り抜けた。
無個性の指が私を掠める。
道は、私が渡った瞬間破けて穴があいた。・・・想像通り。
無個性はこちらに来れない。
多分先に私が行ってたら、イヴが戻れなくなっちゃっただろうし・・・。
『ごめん・・・アリくん。ちゃんと、体重減らすから・・・』
もう駄目だ。走りたくない。インドア派の私には辛い。
・・・私があんまり外に遊びに行ったりしない、インドア派の人間だっていうのは最初のあたりで言ったよね?
鍵を手に入れたことだし、黒い手の奥にあったドアを目指す。
アリに絵をどうしたか訊かれたけど無視。答えられない。
イヴも無視。そう、ここまで来て知ったんだけど、イヴって意外と冷たい面もあるのよ。

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