小説 | ナノ


ボタン

部屋をでると、そこはさっきイヴが倒れた場所の先、すぐ近くだった。
『こんな場所に部屋があって、本当良かったねー!』
「そうね、運が良かったわ。もうホント、2人を抱えて運ぶの」
『はいはい大変だったねごめんね重くて!重いのは分かってんだよ畜生!ああもう、痩せたい…!』
「そういうこと言いたかったわけじゃないのよ!…というか、ユト、アンタむしろ軽すぎだったわよ?もっと年相応に太りなさい!」
ちょっと自虐ネタやっただけでギャリーがオカンになってしまった。やっぱり卑屈になるのはよくないね。
「わたしは…?」
と、イヴは少し不安そうな表情でギャリーを見上げた。
「アンタはユトより軽いわよ、当然だけど。まぁユトよりは、年相応の軽さだけど?」
『ぐっ…もういいじゃない、体重の話はおしまい!』
これ以上話しても私に都合の悪い方向にしか行かなそうだし!
そんなこんなで階段を下っていく。
階段下って、左に曲がって進んでいく。
その時、通路の左側にあったドアの奥から、ノックの音が聞こえた…気がした。
いや、まさかね。…作品がドアをノックするはずないよね。
イヴが気になったのか、ドアの方にかけていって、のぞき穴をのぞいてみた。
そしてかけもどってきて、首を横に振った。何も見えなかったのか。
少し進むと、左側に赤青黄色の無個性と絵画のある…なんて言えばいいんだろう、何か迷路っぽいものがあった。ラビリンスとは全く別物の。
なんとなく、中に入ってみる。
すると、入口が閉まってしまった。
さらに、動いていなかった黄色の無個性さんも動き出した。
慌てて奥へ逃げてみると、さっき絵画だと思ったのは、ボタンになっていた。
『どうする?押す?』
「なんか……もっと、動き出しそう……」
確かにこのボタンを合図に、他の無個性さんも動き出しそうな気もする。
ボタンは3つ、きっとどれかが出口を開けてくれる。
「ユト!こういう時はアンタの勘に頼るわ!何色のボタンにする?」
咄嗟に決めるしかない!ええと、じゃあ私の好きな色!
『青!青色にする!』
「よし!」
なんとか黄色の無個性さんをかわしつつ、青色のボタンの前にくる。
どうか正解であれ!!
“カチンッ”
どこかで音がした。他の無個性さんは…よし、動いてない!
走り回って本棚の前。出口が見えた!
『よし、あっちだ!』
飛び出すと同時にその迷路の出口も閉まった。
「…ユト……すごい…!」
『えへへー、ありがとう、イヴ。』
キラキラした目で私を見てくるものだから、もう可愛くて可愛くて!
なでなでしてあげると、嬉しそうに微笑むもんだからもう!!やだこの子まじ天使!!
「ユトの勘ってもう、人の域を超えてるわね…」
『ギャリー、それって褒めてるの?貶してるの?』
「両方かしらね。」
とか言ったギャリーのみぞおちをぐさっと突いておいた。
「っっ…っこれ……めちゃくちゃ痛いんだけど…!?」
当然でしょう。天罰だよ、諦めて苦しめ、ギャリー。
『それじゃイヴ、先進もっかー!』
「うん!」
「えっちょ……まって…!?」
ギャリーをほんきで置いて行こうか悩んだけど仕方ないから回復するまで待ってあげた。
『全く、大の男がこれじゃあねー。』
「アンタが攻撃してきたのが悪いんでしょうが…!」
『…もっかいいっとく?』
「ごめんなさい。」

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