小説 | ナノ


出会った少女

赤い通路。
階段の両脇にはそれぞれ絵が飾ってあった。
青と赤、どっちに行こうかな・・・じゃあ赤で!
赤の方に行くと、ドアがあった。開けようとしたけど鍵がかかってるみたい。
戻って青の方に行く。青の方にもドア、そして花瓶と一輪の薔薇。
まるで作り物みたいに綺麗な、ピンクの薔薇だった。
一応持っていく・・・べきかな?
薔薇を持ってドアを開ける。
そこには大きな女の人の絵があった。
「その花朽ちるときあなたも朽ち果てる」
・・・その花って・・・この薔薇?いやいやまさか。
ここにもそれっぽいものはないようだし、階段まで戻ってみよう。
扉を出たところには、さっきはなかったはずの貼り紙的な物が。
「バラとあなたは一心同体 命の重さ知るがいい」
うわ、脅しかよ。
ていうかこれ、マジな話なの?軽いジョークだと思ったのに。
やっぱり信じない。少なくとも今は。
そうして来た道を戻っていると、横を誰かが走り抜けた。
『えっ?』
またあの、美術館の窓にいたやつかと思ったらちゃんと人らしかった。
その人は私に気付かなかったよう。
戻ってみて、私は目を疑う。
階段が・・・ない!
どうしよう戻れない、でもさっきの美術館にいても変わらないか。
すっぱり諦めて、さっきの人と合流しようと青の方に行く。
そしてドアに手をかけた瞬間、ドアが勢い良く開き、私は強く頭をぶつけてしまった。・・・痛い。
「きゃあっ!」
甲高い悲鳴。もちろん私のではない。
あれ?この子さっきのとこで私にぶつかってきた可愛い女の子だ。
「あ・・・もしかしてさっきのお姉さん?」
『あ、うん。君も?』
女の子は小さく頷き、話しだした。
内容は、私の体験とほぼ同じ。
電気が消えて、絵が動いて、絵に入って。
そこまで話し、女の子は私に鍵と赤い薔薇を見せた。
『それ、どこで?』
「そこの花瓶と、この部屋で・・・」
あっれぇ?私がこの部屋入った時は何もなかったよね?
「床に落ちてた。それで拾ったら、絵が・・・。」
うつむいてしまった女の子。
ああ、私が床見てなかったからか。・・・いやでも花瓶はおかしい。
私そこはちゃんと確認したもん。
女の子をそっと撫でる。
『そっか・・・怖かったね。』
女の子は顔を上げて私の目を見つめ、
「お姉さん名前は?」
『私はユトだよ。君は?』
「わたしは、イヴ。」
『イヴちゃんか・・・イヴって呼んでいい?』
「うん。じゃあわたしもユトって呼ぶね。よろしく、ユト!」
うっわぁ・・・かっわいいいっ!!何この子妹にしたいお持ち帰りしたい!
決めた!私この子を守り抜く!一緒にここから出る!
『イヴ!私がイヴを守り抜くから!最後まで守りきる!絶対裏切らない!イヴ、私と一緒にここから出よう!!』
イヴは驚いたように目を見開き、赤くなってうつむいてしまった。
・・・あ、恥ずかしかったのかな、ごめん・・・


「・・・かっこいい・・・//」
『ん?何か言った?』
「あ、いや、えと・・・うん!一緒に出よう!」
『(イヴ可愛いな・・・!!)』

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