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迷い込んだ変な美術館

ああ恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい!!
絶対何この子?とか変な奴とか思われたよねああもう駄目だ!
・・・あ、そういえば友達置いてきちゃったんだっけ、私。
拾いにいかないとね!
と、顔を上げると。
『あ・・・あれ?』
誰もいない。おかしい。それともこのフロアが人気無いだけ?
前の作品を見る。
『絵空事の・・・せかい?』
いやーな予感。
私は周りの空気を読むことに長けている。
この空気には嫌なものしか感じない。
そこで急に電気が消える。何で!?
場所を移動してみても、人が一人もいない。
それになんか、―絵が動いてるようなんですけど。
階段を降りようとしていると後ろで「バンッバンッ!」・・・って。
見てみると、窓には手形がべったり。これ、泣いていい?
入口まで戻って美術館から出ようとするけど、ドアも開かない。窓も開かない。
これはおかしい!今更ながらもおかしい!
一階も、二階と同じようにいろいろ動いていた。・・・嫌だなぁ。
最初に見た絵の前に戻って、ため息をつく。
『どうしろってんだよ全く・・・ん?』
絵の前に足跡がついている。
青い足跡が絵の中に続いていた。
もしかして・・・入れるとか?
普通ならありえないけど、こんな場所なら、何が起こっても不思議はない。
思い切って絵の中に足を踏み出す。
そこには階段があった。
私の体はもう全部水にもぐったけれど、息苦しいなんてこともなく。
そして私は赤い通路に出た。

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テーマ「人外ファンタジー」
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