小説 | ナノ


花火

空に咲く、花火を眺めるアタシたちの時間。
急にユトが無表情で淡々と声をかけてきた。
『ねぇギャリー。』
「ん、何、ユト?」
『私たちさ、・・・いつまでこうしていられるかな。』
私、時間が流れるのが怖いの。アタシはそう言うユトを、そっと抱き寄せた。
「そんな怯えることじゃないわ。アタシたちがこうしていられるのは、時間が流れてるからなのよ?」
そう言って腕に力を込める。
表情には出ない彼女の感情を感じ取れるよう。彼女の本当に言いたいことが感じ取れるよう。しっかりと抱きしめた。
『・・・あ、あはは。なんで、私こうなんだろう・・・なんで、なんで』
「気にすることでもないわよ。今がちょっとセンチメンタルなだけ。」
なにがあったの?そう問いかければ、花火から逸らすことのないユトの目から、大粒の涙が流れた。
『・・・うん、なんかさぁ。もう自分、駄目だなぁって。私のことなんて、誰も見てないし気にしてないし。このまま私消えちゃいそうだなって。死んじゃいそうだなって。自分でもよく分かんないんだけど、考えちゃったの。あとどれだけの時間、こうやってギャリーと静かに花火見てれるかなって。そしたらちょっと怖くなった。』
「アタシは・・・ずっとユトのこと見てるし気にしてる。消えさせないし死なせない。だから来年も、再来年もずっとこうやって一緒に花火見ましょ?」
ちょっと驚いた表情のユト。こんな返答、考えてもみなかった、って風ね。
アタシユトのこと大好きなのに。
『・・・・・・うん・・・。あ・・・りがとう・・・。』
ようやくユトは笑ってくれた。アンタの笑顔が見たかったの。
ちょっと涙で赤くなった目。それすらも愛しく感じた。
『・・・大丈夫。ギャリーが一緒にいてくれるから、もう大丈夫。寂しくなんて・・・ない。』
「大丈夫、大丈夫。」
ユトを抱きしめる腕に、力を込めた。
もう、一人にはさせない。ずっと一緒、だから大丈夫。
そういった思いを込めて。
抱きしめ合うアタシたちの後ろで、また大輪の花が夜空に咲く、音がした。

−fin−

この前わたくし花火を見に行ってまいりまして。
山口県の秋吉台って知ってます?
それがもう、すごい迫力で!耳が痛かった!
夏といえば祭り!花火!蝉!夜!!
夏、結構大好きなんですよ。まあ生まれた季節というのもありますし。
そっから花火見ながらセンチメンタルっていうネタが出てきました。
ついでにギャリーさんに語らせたかったというのもあります。
・・・そういうわけで、いろいろグダグダです。失礼致しました。

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