小説 | ナノ


記憶の欠片と本性

『んーと。隠し部屋・・・ってやつかな?これは。やるね、イヴ。』
「ユトに褒められた・・・!」
イヴが見つけたのは壁に隠れてた通路。
奥に進むと、赤い・・・玉かな?
『なんだろ、これ。』
とりあえず持っとくか。
通路から出て、角を曲がる。そこには、比較的大きめの白蛇の絵。
「ここ、くぼみあるよ。」
『うん分かったから指突っ込まないで。』
なんか目潰ししてるみたいに見えるから。
「ここに嵌めるんじゃない?さっきの。」
『あ、そうかも。ギャリーありがと。』
赤い玉を目に嵌める。カタン、と横の絵が落ちた。
『っ・・・。ちょっとビビった・・・。』
「ユト、妙なとこで怯えるわよね・・・。」
妙なとこ言われても。ねぇ?
あ、絵の裏になんか書いてある。ええっと?
大きな木の後ろ、ね。了解。
『これもどっかで使うんだろうね。』
気づくと一周して元の場所に戻ってきていた。・・・あれ?
『ねぇ、こんな場所に部屋あったっけ?』
「あったら気づくでしょ・・・とりあえず、入りましょ?」
入らきゃ何も進まないんでしょうし。そう呟くギャリー。まあそうだよね。
『・・・ゲームみたい。』
「え?」
『なんかあらかじめ用意されてる物みたいな。本当嫌だ。』
「ユト・・・なんか変・・・。どうしたの?」
思い出す。ちょっとだけだけど。忘れてたことなんてあったんだ。
・・・ああ嫌だ。これは私の本性ってやつだっけ?
『・・・邪魔するなよ、畜生。私は・・・のに・・・』
「っ・・・。」
ああ、なんでこんな思い通りにいかないんだろう。
ハッ、とそこで我に返る。イヴが怯えた目で私を見つめていた。
・・・やっちまった。このタイミングでなんで思い出しちゃうかなぁ。
せっかくここまで全部忘れてたのに。本当の私ってやつ、隠せてたのになぁ?
まあ、まだやり直せる。
『あ、イ、イヴ。どした?』
「変・・・ユトが変・・・。何が邪魔なの?いきなりどうしたの?」
俯くイヴ。これは、私を心配とかしてくれてるのかな?
『うん、えっと、考え事してたらちょっと嫌なもの思い出しちゃって。もう大丈夫、イヴとギャリーがどれだけ可愛いか考えてたら忘れたからっ!!』
「そ、そう・・・?」
『うんさっさと行こうよ、ギャリー待ってる。』
「・・・うんっ!」
『・・・大丈夫、もう失敗なんてしない。邪魔なんてさせない。絶対・・・。』
「え?なにか言った?」
『うん。絶対みんなで出るって!』

部屋にはなんかよく分からん展示物?がごちゃっと。
そのなかでもお気に入りは最初のワイングラスのソファ!
ギャリーは座り心地に不満がありそうだったけど、私はなんか気に入った。
骸骨っぽいのにギャリーが怯えていたのが全く、可愛らしい。
奥には、・・・大きな木。
「これの後ろってこと・・・かしら?」
『んー、そーなんじゃね?・・・あれ?イヴ?』
気づくとイヴは私の横から木の後ろにまわりこんでゴソゴソやってた。
やがて小走りで戻ってきて、私の手に何かを掴ませる。
これは・・・指輪?
「これ・・・結婚指輪じゃない?どうしてこんなところに?」
『あ、これが結婚指輪てやつなの?』
「知らなかったの?」
『うん。まあもらう側だし?・・・あ、ギャリーってあげたい?それとももらいたい?』
「いや、男だし、あげる側じゃない?」
『いや、おネェだし、もらってもいいんじゃない?むしろ私があげる。』
「・・・。」
『イヴにもあげちゃうよ!』
「わーい!・・・ユトのお嫁さん・・・かぁ///」
喜んで頂けて光栄です。
てかこれ・・・。もしかして。
『・・・分かったかも。ちょっとついてきて。』
美人を救いに行こう。
私の原動力は私に向けられる、美男美女の笑顔さ!・・・なんつって。

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