小説 | ナノ


目玉の海

『ところでさ〜、イヴ、パンツ何色?』
「いきなり何っ!?」
イヴめっちゃ戸惑ってるよ、それが見たかった!
「・・・ユトの変態・・・//・・・白、だけど」
『あ、言っちゃうんだ』
逆にびっくりした。
「だってユトに聞かれたんだから、答えなきゃ・・・」
『な、なんかごめん。ちょっとした冗談のつもりだったんだけど・・・ところでギャリー、今の聞いてなかったよね?』
「・・・」
見ると、ギャリーはしっかり耳を塞いでいた。賢い判断ね。
「見る?」
『見ない見ない』
イヴがスカートをめくろうとするのを止める。それ許したら私、本当に変態になっちゃうから。ちなみにギャリーはしっかり目を瞑ってました。
『・・・は、話変えるよ。それで、これ持ってきたんだけどどこで使うんだと思う?』
「まだ行ってない場所あったわよね?まずそこに行かない?」
「そっか、じゃあそこ行こう。」
『あとギャリー、もっかい言っとく。助かった。本当ありがとう!』
「どういたしまして。」
笑顔で言ったのにそっけないなー、ってギャリーを見たら顔を背けて赤くなってた。
・・・ふふ、反応が初心で可愛いね。全く。
「ねえ、行こー?」
イヴが早く行きたいというふうに上着の裾を軽く引っ張る。行くか。

部屋から出て一回来た道を戻る。最初の時に左側にも道あった気がするんだ。
そこには目玉、目玉、目玉。目玉の絨毯だ。いっそ、目玉の海と表現しても間違いはない気がする。
「きゃー!なにこれ気持ち悪い!」
「『ひどいよギャリー、目玉さんに失礼だよ。』」
またイヴとかぶった。微笑みを交わす。・・・ねぇイヴ、もしかしてわざと私にかぶせてる?
「アンタたち、こういうの平気なの?なんで床に目があるのよ・・・!」
『ん?・・・ギャリー、こんなの気にし出したらキリがないからさ、気にしないほうがいいよ。』
「・・・・・・」
にしても、この図おかしくないか?男が怯えて女が守るってーか・・・まあいいか、ギャリーだし。
「ユト、ユト。」
気づくとイヴは目玉の海の真ん中辺りまで進んでいた。早いよ、というか少しは危機感持とう。
「見て、ユト。この目だけなんか痛そう・・・。」
「ねぇ、気持ち悪いからアタシ向こう行きたいんだけど・・・」
『どうしてあげればいいんだろうね?』
「無視っ!?・・・仕方ないわね・・・て、な・・・なんかこの眼だけ充血してない?」
『うん、そうなんだけど。反応遅くない?』
「いや、今ようやくまともに眼を見たから・・・」
イヴはジッとその目と見つめ合う。
やがてポンと手を打ち、私に言った。
「目薬。」
言われたとおり、目薬を渡す。
それをイヴは充血した目に・・・ああ、そーいうことね。
目薬が充血した目に、ポトリ。
滴が目に入った瞬間、充血は引いていき、通常の目に戻った。
やっぱこの美術館の物って回復早すぎだし!
きゃぴーん!とか音が付きそうなくらい輝く目。・・・か、可愛い///
「不覚にも可愛いとか思ってしまったわ。」
『ギャリーもか。・・・わっ!』
急に目玉が動き出す、あ、もちろん目は閉じた状態ね?
やがて壁の横にピッタリくっつく。
「な、なに・・・?」
目は壁を見ている。
「そこに何かあるの?」
・・・イヴって本当いろんなものと会話するね。蟻とか、目とか。
「ユト!ギャリー!こっち!」
嬉しそうに手招き。可愛いねぇ、全く。
『イヴ、可愛いねぇ。ギャリーも思うだろ?』
「え、ま、まあ、そりゃあ・・・」
大丈夫、はいって言ってもロリコンとか言わないからさ。


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