小説 | ナノ


多大なる屈辱

『いっやぁー無個性さん、意外といい人でさぁー?』
「「・・・。」」
2人とも、えー?みたいな顔をする。
『だってさ、無個性さんって・・・ナイスバディってやつじゃん!ギャリーも思ったでしょ!?ねぇ!!』
「え!?ここでアタシに振るの!?・・・ええと」
「ユト、ギャリーが変態。」
「っな!?ち、違うわよこれは、その・・・」
『・・・へぇー。ギャリー、私の可愛い可愛いイヴになんか仕込んだの?場合によっちゃ・・・死刑。』
自分の目に、危険な光が灯るのを感じる。
「えっ!?そ、そんなんじゃなくて」
「ちがうの、ギャリーがユトに腕絡められたとき、む、胸の方ばっかり気に」
『え?・・・あ、あぁ、まあその程度ならゆ、許す。』
胸っていう単語を発するのも恥ずかしいっていう感じのイヴも可愛い!!
てか・・・ま、まじか。そういう、自分がそういう・・・見られるのも慣れてないんだ・・・。
めちゃくちゃ途切れてしまったじゃないか。
それに、そういうのを考えてなかった私が悪いわ。嫌だった・・・んだよね・・・。
「・・・そういうの、許しちゃうんだ・・・」
『イヴ、なんか言った?』
「・・・何も。」
落ち着け、混乱するでない、私よ。切り替えていこう。
『じゃあ、とりあえず次行こう。てかまっすぐ行こう。』
行くと右の方に扉。
中に入ると、絵と椅子が部屋を埋め尽くさんばかりに。
奥の方には机と・・・なんだろあれ。何か置いてある。
「椅子を押して道でも作れないかしらね?」
軽く首を傾げ、人差し指を立ててギャリーは言う。一挙一動が可愛らしい。
「『それより椅子の上歩いたほうが早いよ?』」
・・・イヴと台詞がぴったりかぶった。イヴはえへへ、と笑いかけてくる。一挙一動が可愛らしい。
「じゃあわたしが行ってくるね?」
『えー?やだ、私行く。行きたい!行かせて、くれるよね・・・イヴ?』
「・・・そんなに言うなら・・・///」
ユトにゆずる。頬を染めてそう言ったイヴ。
『うし、じゃ行ってきます・・・っと。』
椅子の上へ這い上がる。なぜか椅子は妙に高く・・・これイヴ登れんだろ。
後ろから何か聞こえた気もしないではないけど、今の私には関係ないか。
そして私は椅子の上を飛んでまわり、奥の机にたどり着く。
『おぉ、目薬?』
それはごく一般的な市販のただの目薬だった。・・・市販?・・・ゲルテナ商会・・・
なんに使うんだろうか?もと来た道を戻る。
『よし、これでラストぉおっっ!?』
ラストだからといって気を抜くべきではないね。
私は見事にラストの椅子でバランスを崩し、つんのめる。地面が近づく。
・・・まあなんとも幸運なこと。ギャリーが真正面にいた。
ギャリーに抱きつく形で私はギリギリ転落を阻止することができた。
『うわ・・・もう本気でダメかと思ってたわ。ありがとね、ギャリー。』
「もうっ!危なっかしいんだから!気をつけなさいよ?・・・いろいろと・・・さ。」
いろいろ?うーんと、なんだろうね。まあいいや。
そこでイヴが私のスカートの裾を引っ張ってきた。
『何?イヴ。』
「白地にピンクと紫の花柄、フリル・・・」
『ん?・・・・・・!?///』
思わず飛び退き、口を覆いながら声にならない悲鳴をあげる私。
多分顔は真っ赤だろうし、ちょっと・・・衝撃が大きすぎて腰が抜けてしまった。
その場にストンとへたりこんでしまった。
『・・・イヴ、なんで?・・・もうだめ、恥ずかしすぎて死んじゃうよ・・・イヴに見られた・・・ギャリーも・・・見たの?』
私は滅多に出さないか細い声でそう呟いていた。
上目遣いに見上げる。ぎょっとした顔をし、複雑な表情をした所を見ると・・・やっぱりね。
「柄、可愛くていいと思うよ?」
『そんなの褒められても・・・』
涙がにじむ。もう溶けて消えちゃいたいよ・・・。
「ほっほら!そんな落ち込まないの!気にしたら負けよ?」
あんたが言うか、ギャリーよ。・・・まぁ、もういいや、どうでもいい!
『パンツの柄なんてどうでもいい!』
「「!?」」
『吹っ切れた!いつもは青と白の縞だったり白地に茶色の水玉とフリル、リボンがついてたり黒のレースだったりいろいろあるけどもうそんなんだってどうでもいいもん!パンツ見られたって恥ずかしくないもん!!』
「それをそんな大声で叫ぶアンタが恥ずかしいわよ・・・」
「ギャリー、少し黙ろうよ。そのワカメむしるよ?」
「っ!?」
ふぅ、叫んでみたらちょっと楽になった。なんかイヴの黒い声が聞こえた気もするけど怖いし気にしない。
『よし、切り替えよう!次行こう!』
「・・・ユトが女の子で可愛かったね、ギャリー。」
「・・・そうね、珍しいモン見たわ。・・・それとイヴ、アンタのその切り替え怖いんだけど・・・」
「気にしないで。」
「・・・そうするわ。」

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