小説 | ナノ


カワイイは正義

「い…今のはちょっと驚いただけよ!本当よ!」
とかギャリーは言い訳してるけどもはや可愛い以外に彼に言うことはない。
『ギャリー、可愛いね。』
「え!?」
『大丈夫だよギャリー。ギャリーも私が守るよ、絶対。』
「!?///」
急に私から距離をとるギャリー。
ひどい、そんなに嫌だった?
「ねぇイヴ、あの子・・・」
「天然タラシ・・・」
イヴ、その言葉どこで覚えたのかなー?
イヴの純粋さを犯す輩はどこかなーっ!?
「ユト、私にも同じこと言った。」
イヴはムスっとして言う。
『イヴめっちゃ可愛いじゃん。将来有望じゃん。ここで失うわけにはいかないもの。』
同じくそこのイケメンさんも。イケメンと美少女を失うことは世界の損失と言ってもいい。
「とっ、とにかく進むわよ!」
『おー。』
「お、おー。・・・?」
イヴものってくれた。嬉しい。
進むと、無個性(男)、かな?それが扉を塞いでる。
『ねぇギャリー、君紛いなりにも男でしょ?どうにかできない?』
「紛いなりにもって・・・」
ひどいわね、とぶつくさ言いながら、ギャリーは無個性を横にずらす。
おお、さすが男(仮)。まあ動かせなかったら私が無個性蹴り飛ばしてたけど。
扉を開く。
中で私たちを出迎えてくれたのは、ワキワキする大きな腕。
『うぉっ!?』
「悲しき花嫁の右手、と左手・・・ね」
壁には「嘆きの花嫁」という絵と「嘆きの花婿」という絵が真ん中の道を挟んであった。
『うーんと、じゃあこの腕はあそこの美人の花嫁さんの腕ってこと?』
「そうなのかしらね。」
まあ今は何一つできることはない。すまない、花嫁さん。
進むと、左のあたりに扉。入ってみるか。
中には「ラビリンス」・・・なんだそれ?
『どうする?なんか迷いそうだけど。』
「行くしかないよ・・・右から行こう。」
ぼそっとイヴが呟く。なんだなんだ、テンション低いねぇ・・・。
『なんかさっきから、妙に元気無いように感じるんだけど・・・大丈夫?』
「え?あ、大丈夫だよ?」
そう笑顔で答えてくれるけど・・・心配だな。
『無理しないで。辛かったらすぐ言ってね。私が責任もってどうにかするから。』
「うん、分かった。」
右に行く。左に行く。前に進んで右。
『赤い絵の具からまっすぐ南へ。赤い絵の具見かけた?』
「さっき左につながる道に赤いシミあったよ」
『絵の具?』
「わかんない・・・」
じゃあいいや。適当に進もう。もどって右行って曲がってまっすぐ行って・・・
『あ、シミ。』
「絵の具・・・じゃない?」
『かもね。まあ、ちょっと後回しにしよ。こっち見てみたい。』
さらに奥へ。張り紙があった。
「迷路を抜け出すコツ・・・壁に手をつきながら進んでいけばいつかはゴールにたどり着ける」
・・・知ってる、でもさ、確実にじゃ・・・ないんだよ?
ある形のは、その方法だと絶対に出れないの。
「コツはいいんだけど・・・天井低くて参っちゃうわ」
『身長高いのも困りもんですねぇ。へぇー』
「ユト、嫌味言わないの。」
イヴにたしなめられてしまった。
「おまけに変なのウロついてるし・・・」
『えっ!?なんかいた?』
「気づかなかったの?」
どうやら気づいていなかったのは私だけらしい。恥ずかしい。
「ハサミうちにならないように気をつけなさいよ?」
と、その時足音が聞こえてきた。
・・・しかも両側。
『ギャリーごめんけどその忠告はもう遅い。』
「きゃっ!?」「わっ!?」
とりあえず腕をギャリーに絡め、絡めた状態でイヴを抱きかかえ右からきた無個性さん(女)をガッと足蹴にして抜ける。飛び出して右へ。
絵の具からまっすぐ南、だったよね?
南ってこっちだっけ。
奥まで行くとスイッチがあった。これだな。押してみよう・・・ポチッとな。
『おぅ、これアタリだったかも。』
そしてそのままいろいろまわったらドアを見つけたから出た。
『ふぅ。2人とも生きてるかい?』
ん?2人ともなんか私から目をそらしてるし、赤いなー。
そんなに疲れちゃったかな?
そこでパッとイヴが顔を上げ、私の目を見ながら言う。心なしかイヴの目はキラキラしていたような・・・。
「ユト、かっこよかった・・・!」
『本当かい?ありがとう。イヴにそう思ってもらえて光栄だよ。』
嬉しいなぁーそう思ってもらえて。
『で、ギャリーは・・・どうした?』
「え、いや、その・・・」
キョドるギャリー。
あ、そういえばさっき私赤い無個性さん足蹴にしちゃったんだ。
・・・無個性って女だ!やばい、私女性を足蹴にしてしまった!!
『イヴ、ちょっとこの薔薇持ってて!』
私は自分の薔薇をイヴに預けてラビリンスに戻る。
さっき足蹴にしてしまった場所に行くと、無個性・・・さんがお腹あたりを押さえて座り込んでて、その周りに2人の別の無個性さんが「大丈夫!?」みたいな感じでいた。
私は・・・とりあえず土下座しました。
『ごめんなさい!逃げるためとはいえ、女性を足蹴にしちゃダメですよね!本当すみません、謝りますから許していただけませんでしょうか・・・?』
座り込んでた無個性さんはこちらに首を向け俯くようにしてから。
気にしないで、というふうに手をひらひらさせた。・・・うわ、素敵!
握手を求めたらしてくれた。めっちゃ優しい方でした。
友達になってもらえますか?って言ってみたら、頭部の頬があるあたりに手を持っていき・・・頷いた。首部分が。
・・・頭ないって不便ですね・・・。
今度は筆談で話しましょう!
そう言うと無個性さんはそれじゃ、さよなら、って感じで手を振ってくれた。
私は部屋から出ていった。

ユトがそうやっていた頃の2人。
「・・・」
「ねぇギャリー、なんで何も言わなかったの?」
「・・・確かに格好良かったわね、ユト・・・。」
「なんで言わなかったの?」
「いや、その・・・逃げてる時に、その・・・ユトの・・・む、胸がアタシの腕にずっと当たってて・・・」
「・・・」
「そっちでちょっと、なんていうかその・・・」
「うんいいよ分かった。とにかくユトは素敵だよね。」
「・・・その蔑みの視線はやめてくれないっ!?」
「・・・変態。ロリコン。」
「どこでそんな言葉覚えたのよ・・・」
『イヴ、ギャリ〜!ただいま〜☆さっきの無個性ちゃんと友達になれた!!』
「「何してたの、ユトッ!?」」

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