小説 | ナノ


ベッドの魔力?

家に帰ったらドアが開かない。
親が旅行で今日明日は一人。
親は私が学校に行っているうちに家を出た。
もちろん、鍵をかけて。
私は鍵を家に忘れた。
・・・つまり、入れない。

『てな訳でして。今晩だけでいいから、泊まらせて!!』
「いや、アタシ一応男なんだけど。友達・・・と言えど男の家に泊まりたがるのは・・・」
『気にしない!だってギャリーだもん!』
「・・・それ、どう受け取ればいいのかしら。ていうか別にアタシじゃなくて友達のとこにでも」
『友達いない。』
「・・・あ、ごめん・・・。」
『いいよもう気にしてない。慣れた。だから本当、お願い!!』
仕方ないわね、と渋々ながらも了承してくれたギャリーにガッツポーズ。別に、ちょろいなとか思ってないんだからね!
「で、もう遅いんだけど夕」
『夕食は(ファミレスで)食べたし、風呂も近くのとこ行ってきた。パジャマ替わりにジャージ買ったし、あと寝る場所だけ借りたいのです。』
負担を出来るだけかけたくないから、済ませられることは済ませておいた。
ギャリーはちょっと苦笑い気味に、「ユトっていつもそうよね・・・」って呟いた。
「いいわ、ベッド好きに使って。」
『わーい。で、ギャリーはどこで寝るの?』
「え?普通に床だけど・・・。」
『なんだとっ!?そ、それは駄目!』
「・・・じゃあソファー?」
『そういうことじゃなくて!』
それじゃギャリーに負担かけちゃう。意味がないじゃん。
『もういい!私、床借りるから。』
「そういう訳にもいかな」
『じゃあソファー?』
「もう!・・・ユトは“お客さん”なんだから、そんなことさせないわよ!」
『そんなぁ・・・』
・・・ん?ふふ、いいこと思いついた。
『うふふ・・・じゃあさ、ギャリー』
「何?床は駄目だか」
『一緒に寝よう!』
「なっ!?///む、無理に決まってるじゃない!!」
『ギャリー・・・私と寝るの、そんなに嫌?』
ちょっと目を潤ませて上目遣いをするだけで、ギャリーはわたわたする。
「えっ、いや、そんなつもりじゃ」
『嫌・・・なの?』
ダメ押し。
「・・・ああもう!分かったわよ!」
私から顔を背けながらそういうギャリーは心なしか顔が赤く、なんとも可愛らしい。
そんなに恥ずかしいの?一緒に寝る程度で?

『わーギャリーといっしょー!ベッドー!』
「ちょっ、転がって距離詰めないで!」
結果、2人で寝る、でいいんだけ、ど・・・なにこれ。
私とギャリーの間に30センチほどの隙間。シングルベッドなのでこの隙間はきつい。
特にギャリー落ちそうになってるし。
『ねえ、ここの隙間、そんなに必要?』
「ええ当然。」
もういいや。
『わー布団からギャリーの匂いがするー。』
「ちょっと。恥ずかしいからやめてくれない?」
『だって息してるだけでするんだもん。それに私、ギャリーの匂い好きだよ?』
「・・・バカ」
そう言うとギャリーは恥ずかしそうに私に背を向けた。
いや、だって本当にいい匂いだもん。私の嫌いな、男臭い感じは全くないし、ふわって優しい柔らかい匂いだから。
『ギャリー、このベッドで寝たのって私が最初?』
「・・・ええまあそうだけど・・・」
なんかちょっと幸せ、かも。
『じゃあイヴはともかく、メアリーは寝かせちゃ駄目だからね?』
「最初からユト以外入れる気はなかったんだけど、何で?」
『メアリー、絶対ビリビリに破くよ?こんなにギャリーの匂いしてたら。』
「あー・・・そうなの?」
『私以外は入れないで!』
「・・・」
『とか言ったらちょっと可愛くない?』
「・・・本当、ユトはバカね。」
『何それ。じゃあ、おやすみ。』
「おやすみ。」
・・・。
・・・・・・・・・。
・・・まだ寝れないや。ギャリーのベッド、だからかな?
『ギャリー。』
「・・・」
『ギャリー、もう寝ちゃった?』
「・・・」
寝ちゃったなら、何言っても別にいいよね。
『ねぇギャリー、ベッド貸してくれて、本当ありがとうね。いや、ベッドだけじゃなくていつも。私、友達いないって言ったでしょ?いつも独りで、つまらなかった。寂しかった。誰かと一緒にいたかったの。だから私ね、ギャリーといられてすっごく嬉しいの。仲良くしてくれて、一緒にいてくれて、過ごしてくれて、話してくれて。優しくしてくれて。』
私はそっと転がって、ギャリーに体をくっつける。
あったかくて、気持ちいいや。
『私、そんなギャリーが、好き。大好き。愛してる。これからもずっと一緒にいてくれる?・・・一緒にいてくれると嬉しいな。じゃあおやすみ、ギャリー。いい夢を。』
私の意識は深く落ちていった。

実のところ、ギャリーは全くもって眠ってなどいなかった。
ユトが横にいる、ということを意識しすぎて寝られなかった、というのが正しい。
「・・・起きてるわよ、全く。」
自分にくっついて眠るユトに囁く。
「ありがと、嬉しいわ。アタシだってユトとこうやって過ごせるのがとっても幸せ。それに、好きだし大好きだし・・・愛してるわ。誰よりも大好き。・・・きっと伝えてみせるから、待ってなさいよ。」
眠るユトの体を抱きしめる。
「おやすみ、ユト。いい夢を。」

次の日の朝、私は目覚めると同時に自分を抱きしめ寝ているギャリーに気づき、真っ赤になって『ギャリーの変態っ!』って叫びながら肘鉄食らわせてギャリーをベッドから突き落とすのは別の話だし、それからしばらくの間、私がギャリーを『変態ロリコン野郎』と罵り続けるのも別の話だし、そういうことがあったせいで意識しすぎてギャリーとうまく会話ができなくなるのも一応別の話だし、ギャリーが私に・・・こ、告白をしてくれ・・・たのなんか別の話なんだからねっ!!///

−fin−

はい、以上!今回は想像以上に長くなってしまいました!
ノート2ページ以内に終わらせる予定だったのに、3枚いっちゃいましたから、本当長いです。
しかも寝る前に文章の流れ思いついて書きなぐったからもうグダグダだったりです。
兎煮様、相互ありがとうございました!
ご期待に添えたのかは分かりませんが・・・。
楽しかったです!素敵なリクエスト、ありがとうございました!
兎煮様のみお持ち帰りOKです。

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