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また会ったね

戻ると、さっき倒れてた人は立ち上がってた。身長、高い。いいなぁ。
んーと身長からして男だね!あと服装からしても、ね。
足音で2人は振り向く。
・・・あ、男の人、美術館のあのイケメンさんじゃん!!
イケメンだったのは嬉しいけどあのお兄さん・・・どうしよう気まずい気恥ずかしい!
とか全然思ってないんだから!
「あ、このお姉さんがユト。わたしがここまで無事に来れたのもユトの」
「ええ、そこはさっきから何回も聞いたわよ。・・・あら。アンタがユト?確か美術館でアタシにぶつかってきた・・・よね?」
クスッと笑う。ああ覚えてたの、忘れてください本当ごめんなさい!
でもイケメンはいいわぁ。見てて癒される。
『ああどうも、僕がユトっす。ええっと・・・お兄さん、なんて呼べばいいっすか?』
「僕、・・・僕?」
『あ、間違えた。私。あとイヴ、あんまりそういうの突っ込まなくていいよ。』
「そういえばまだ名乗ってなかったっけ、アタシはギャリー。そのまま呼んでくれてかまわないから。」
『えと、じゃあギャリーさん。これってギャリーさんのですよね?』
イケメンさん・・・ギャリーさんに青い薔薇を差し出す。
「ユトがとってきてくれたの?ありがと、おかげで助かったわ。」
あと、敬語も“さん”もいらないわよ!堅っ苦しいの苦手なの。そう言って笑う。
・・・いきなり呼び捨て・・・された。慣れてないから結構きつい。主に心臓が。
それにその、笑顔!可愛すぎでしょ貴方!男だよね?
イヴも可愛いけど、また違った可愛さ!もはやオネェ口調なんか気になんない!むしろいい!イケオネェ最高っすね、ギャリーさん。
『・・・ハンパねぇ・・・恐るべしイケオネェ・・・』
「ん、何か言った?」
『いいえ何も。』
「ならいいんだけど・・・」
『そうそう、ところでイヴ。一体私がここに来るまでに何があったの?最初から最後まで残さず教えて。』
ここまでしばらく放置気味だったイヴはほっぺたをぷぅと膨らませてた。
全く。可愛いなぁ・・・もうやめて悶え死んじゃうから!!
「・・・えっとね、わたしギャリーにずっと声かけ続けてたの。そしたら途中でわたしに気づいて、それで話をしてて。ギャリーもここに迷い込んじゃって、何がなんだか分かんないんだって。」
「そして今に至る、って感じね」
『そんで、ギャリー・・・は私らと一緒に行くの?』
うぉっ、危ね、またさん付けしそうになってしまった。
相手に嫌がられるようなことは避けなきゃね。
「そうね、女の子2人じゃ危ないからね。アタシも一緒についていってあげるわ!・・・いいかしら?」
とか言いながら上目遣い。
いや、私より大分身長高かったよねっ!?とか思ったら、ギャリーさんは床に膝をついて私の顔を下から覗き込んでた。
思わず距離を取る。
「・・・やっぱりダメだった?」
ショボンとするギャリー。ああ、もうその顔やめて!!私そういうの一番苦手なんだから!
それに最初からその申し出を断る気なんて無かったし。
『いやいや!よ、喜んで!そしてそんなにしょぼんてしないで!心が痛いから!』
「・・・何慌ててるの、ユト。」
「本当!?よかったー!」
何故か死んだ目をしてこちらを見つめるイヴと、ホッとしたような声を出すギャリー。
『ああもう可愛い!そんな可愛いことしないで!私が耐えらんない!!』
すると2人してよくわからなかったのか同じように首を傾げる。
・・・諦めよう。せいぜい、目の保養にしてやらぁ。
『・・・よし、行こう!』
と踏み出したらいきなり横から液体が飛び出した。
「ぎゃーっ!」
悲鳴をあげたのは何故かギャリー。びっくりしすぎたのか後ろにこけちゃってる。
・・・全く可愛いなぁ。行動も悲鳴も。そこらの女の子以上だ。イヴ除く。

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