小説 | ナノ


伝わって欲しいこと

『ギャリー、とても大事なお話があります。』
「・・・何よ」
ここは美術館近くの喫茶店。
あの美術館から出て1ヶ月が経っていた。
・・・思い出すと出られたのは奇跡だな。
私とメアリーは、作品だった。
あそこから出たいけど他の人の薔薇が必要だった。
だからイヴとギャリー、それぞれの薔薇を奪おうとしたけど。
・・・仲良くなっちゃって、奪いたくなくなってしまった。
そうして諦めた私たち。でもイヴとギャリーは諦めなかった。
まず、私たちを無理やり「絵空事の世界」に押し込もうとした。・・・無理だった。
てかめちゃくちゃ痛かった。本気で殺意が湧いた。メアリーはさらにギャリーが嫌いになった。
次に、私たちの絵を持ってきて絵空(略)に押し込んだ。これもまた痛かった。
でも、無理やりやってたら私たちの絵はズブズブと絵(略)に入って。
そうして私たちは、念願の外に出れた。
―現在に戻すね。
私の、ギャリーへの大切な話、それは。
『ギャリー、私と結婚を前提に付き合ってください!』
「いや、なんでそうなるのかしら。」
『一目見た時から好きでした!』
「ユト、アンタ初対面でアタシに襲いかかってきたわよね?」
『照れ隠しです!』
「アタシの薔薇奪いにきてたじゃない!」
私は本気で、私を、私たちを出してくれたギャリーを好きになった。
仲良くなった時から気になってた。
私たちと脱出する方法を、最後まであきらめないでくれたその姿に惚れた。
本気の本気、なのに。
「もう、ホント冗談はやめてよ。」
『なんで冗談なんていうの!?』
「これ、4回目よね?」
そう、これで4回目。週1で告白し続けた。でも信じてくれない。じゃあ、
『ギャリー、大好き!』
「アタシも大好きよ、ユト」
・・・チッ。これはこれで、確実に恋愛感情の方だと思ってないな。
「ユト、ギャリー、そろそろマカロン食べよ?」
イヴの一言で、今日はここまで、とあきらめる。

その帰り道。
『メアリー、イヴ。どうすれば本気ってわかってくれるんだろう・・・』
「そうね、いっそ婚約指輪でも買ってみれば?」
『・・・本気できいてんだからふざけないでよ、メアリー・・・』
「じゃあユト、ユトの本音を冗談とか全部抜きで手紙に綴って渡してみたらどうかな?」
『おっ、それはいいかも!・・・ああでも気恥ずかしい・・・』
「本気なんでしょ?それぐらい頑張りなさいよ!」
私、冗談が言葉の合間合間に挟まってるから、全部冗談話してるって思われちゃうんだろうな。
だからイヴの、冗談抜きの手紙ってのは本当いい案だと思う。
・・・ていうか、なんで私5歳以上も年下の、子供にこんな相談して、アドバイスまでもらってんだろうね・・・

―ギャリーside―

あー本当みじめ。
なんでこうなっちゃってんだろ。
毎週、喫茶店に集まったら毎回、100%の確率でユトに・・・あーいうことされるし。
アタシは・・・ユトのことが本気で好き。愛してるとさえ言ってもいい。
でもユト、アンタのはただの、いつもの冗談でしょ?
それは恋愛感情とかじゃないんでしょ?
ユトのその気持ちが、冗談なんかじゃない、本物だったらいいのに。

1週間後の美術館前、手紙を無言でギャリーに押し付け真っ赤になって逃げるユトと、手紙を読んでこれまた真っ赤になって立ちつくすギャリー、それを影から眺めながら楽しそうに笑うイヴとメアリーの姿があった・・・。

−fin−

〜とりあえず、やってみました!
・・・ギャグ風味です。とにかくギャグが大好きなんですごめんなさい・・・
なんか微妙な終わり方しちゃいましたね。
でもこれは結構書きやすかったです!
リクエストありがとうございました!
虹瑠様のみお持ち帰りOKです。

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