小説 | ナノ


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私は、本が大好きだ。愛しているとさえ言ってもいい。
・・・いきなりのカミングアウトでごめんなさい。
趣味は絵とか読書とかゲームとか。だからこそのインドアです。
まあ、絵のために外に出るってのはたまにあったけど。
基本的にそっち側の人間でした。
ん?なんでいきなりこんなこと言いだしたのか?
別に私のテンションが変だからじゃないよ。あ、いや、今は別の意味で変だけど。

それは、ここが書斎だからさ!
いろいろ本が詰まってる!私好みの本はないけど・・・。
ドアは開いてなかったから、イヴと手分けしてあさってみてるの。
本のおかげで、赤い服の女とかの絵の性質?とか分かったし、儲けもんだ。
『いろいろあるねぇ・・・//イヴ、なんか見つけた?』
「ええっと・・・あ、ユト見てこれ。」
『わぁ、動いてるね。ははは』
「ははは、じゃないよ・・・」
苦笑いなイヴ。ごめん、でも仕方ないじゃん。テンションの問題だもの。
・・・物語の流れは、どんどん嫌な方へ。
『ちょっ・・・グロ』
イヴの目を隠し、最後のところは見せない。
最後まで終わると、鍵の開く音がした。

次の部屋は右と左に道があった。
『どっち?』
「左!」
もはや道を決めるのはイヴの役になってきた。
左へ行くと、水の入ってない花瓶と鍵のかかった扉、さらに左には数枚の青い花びらと・・・血かなこれ?
特に何もなさそうなので戻る。そこの青い花瓶で一応回復。ここの水はほかの花瓶と違って水が減ってなくならなかった。便利。
右の道へ行く。
『おっ!?』
そこには、何かが倒れていた。
「いや、何かって・・・どうみても人じゃない?」
『いや、ここの化け物かもしれないぜ!』
「えぇー・・・」
・・・あれ?さっきのって声に出してたっけ?
「今も声に出てるよ。」
『うおっまじか。いつから?』
「さっき。」
・・・よかった。煩悩の部分は聞かれてないみたいだ。
もうちょっと気を引き締めていこう。
『ていうかさ、この人大丈夫なの?』
イヴがぽんぽんと肩を叩く。
それだけでもものすごく苦しそうにしている。これは重症だわ。
「・・・あ、この人バラ持ってないよ!?」
イヴが何か叫んでる、でも私はもっと別のことに気を取られていた。
この人が握ってるのは鍵、かな?
さっきの部屋で見たものと、この人が倒れてる理由が私の中でつながった。
そうか、そういうことか。そっと手から鍵を抜き取る。
『イヴ、それまだ生きてる?』
「う、うん。・・・ユト、それって酷い・・・ユト?」
立ち上がって走り出そうとしている私にイヴは気づき、戸惑った表情をする。
『じゃあイヴ、ちょっとその人見てて。きつそうだからあんまりぽんぽんとかしないであげて。』
「えっ、あ、ユト、どこ行くの?わたしを・・・置いてくの・・・?」
泣きそうな顔をするイヴをなだめるように続ける。
『んなわけないでしょーが!私、イヴを最後まで守り抜くってちゃんと言ったよね!?』
「で、でも」
『私が信じられない?』
「そんな、そういうわけじゃ」
『ちょっと用事済ませてくるだけだから。・・・ねぇ、その人助けたいって思わない?』
そこまで言うと、イヴはようやく私の真意を掴めたようだった。
「・・・分かった、見てる。早く帰ってきてね?」
『もちろん。』
笑顔を交わし、左へと走った。早くしないと危険なんだ。

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