グットバイから始めようか






「パスカ、チケットは持ったか!?」

「うん!おじいちゃん!」

「パスカ、ハンカチは持ったか!?」

「うん。おじいちゃん。」

「パスカ、お金もちゃんと持ったか!?」

「…うん。ちゃんと持ってるから大丈夫だよ」

そう返してもいまだにちり紙は持ったかだの、ポケモンフーズは持ったかだのひたすら聞いてくるおじいちゃん。

…なんか過保護になってませんかね?まあ嬉しいからいいんですけど。

ちなみにここはクチバシティの港だったりするから、回りの人たちからの視線が痛いよ!!ねえ気づいてよおじいちゃん!!お願いだから老眼じゃないって言い張らないでよ!!


そんなことを考えた後、私はチケットを確認する。

クチバ港からヒウン港行きのチケット。
意外に値をはったが、買えない程でもなかったのでAクラスの船室をゲットした。
どうせ長旅なんだからゆったり行かないとね!!

出港時間はあと20分。
基本的に30分前行動をモットーとしている私としてはもう船の中にいたいところだ。

それじゃあもういくね、とおじいちゃんに声をかけ、ゲートを通ろうとするとおじいちゃんに呼び止められた。

「パスカ、これを持って行きなさい。」

「…これ、なに?」

「開けてみるがよい」

そういわれ、おじいちゃんに渡された袋を開けてみると

「…服?」

「そうじゃ!」

「でもおじいちゃん、これと同じ服今着てるけど」

それにでっかい…、と呟けばそりゃそうじゃろうと当たり前のように返された。

ちなみに、今着ている服は看護師さんとジョーイさんとおじいちゃんが皆で買ってくれた服だったする。

黒のインナーに足の前が開いているクレーム色のワンピースのようなものと赤いリボン、あと白いスカート。
靴はお古のブーツをもらった。

それをいくら年を取っているとしても、あげた当の本人が忘れる分けないだろう。

「何か理由があるの?」

「パスカ、おぬしはこれからその服が着れるぐらい成長するだろう」

「…うん。」

「だからその服が着れるようになったら、わしのところに会いに来るのじゃ」

「…」

「パスカが帰って来るまで、わしは待っているからな」

「…わかった」

「なに、パスカ。そんなに悲しい顔をするな」

帰る場所をくれたおじいちゃん。

帰る理由をくれたおじいちゃん。

そこから離れる決断をしたのは私自身。

だから泣いちゃだめ、心配をかけちゃだめ

笑って、進まなきゃ


「おじいちゃん、行ってきます!!」


その一声とともに、私は船へと駆けた。

目指すは海の先の国!



















船の中、廊下で離れていくカントー地方を見つめる。

後ろでは、旅行から帰るのであろう旅行客がいた。途中でジョウトにも寄るからそこでおりるんだろうなぁ…

双子と思われる男の子と女の子がおいかけっこをしている。
カントーではどんな思い出が出来たんだろうね、と腕の中にいたカゲボウズに問いかければ嬉しそうに鳴いた。

「あー!ぽけもんさんだー!!」

「ちょっと、だめだよことね!めいわくになっちゃってるよ!」

「ねえねえ!おねーちゃん!そのぽけもんさんなーにー?」

先程の双子の子達がポケモンを見て、遊びに来たらしく、ポケモンの名前を尋ねてきた。

カゲボウズっていうの、と言えばわかんないけどかっわいいー!!なんて言い、カゲボウズを撫でた。
カゲボウズもその気になってるし、楽しそうだし別にいっか!

「ヒビキー!コトネー!船室にもどるよー」

「はーい!!おねーちゃん、おなまえなあに?」

「私はパスカ。えっと、コトネちゃんにヒビキ君でいいんだよね?」

「うん!じゃーねおねーちゃんとかげぼうず!!」

「ごめいわくをおかけしました…。ってまってよことねー!!」

…嵐のように去っていった双子の子達。

きっと女の子のほうは強く育つね…

そんなことを思いながら船室に戻った。












船室でも離れていったカントー地方を少しだけ見ることができた。

しばらく見ていると、カントー地方の大地は空に吸い込まれるようにして消えていった。











きっとイッシュ地方は、すぐそこに

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