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画面に映し出された細かな数字。
「異常なし…っと。」
ポツリと呟いた。
アサルト型の神機には、特に異常は見当たらないようだ。
「良かった……。」
後ろから、リッカの声が届く。
振り返れば、落ち着いた笑顔が神機を見つめていた。
「…………」
そんなノジアの視線に気づいたのか、
「どうしたの?」
神機から視線を外す。
パッと変わった表情。
「いや……。次は部品交換か?」
ノジアも視線を逸らし、神機へ向き直る。
パチパチと固定していた神機を開放していく。
「うん。部品ならそこのターミナルから呼び出せるから。」
「了解。」
リッカも作業に戻り、先程ノジアが途中まで修復していた部分に仕上げをしていく。
厚手の布で磨き、ちらちらと繋がれた画面を見ながら調節していく。
毎度のことだが、仕上げにはやはり気を使う。
それが楽しかったりもするのだが。
すると、
「あ、この部品いいなぁ……」
カタカタとターミナルをいじりながらノジアが呟いた。
リッカは顔を上げる。
ターミナルの画面に映し出されている神機の部品。
「あぁ、それ?最近導入されたヤツだよ。」
まだ記憶に新しいそれ。
ちょうど実用化され始めたばかりであった。
「トリガーの潤滑性を重視したタイプなんだけど……」
銃形態でのトリガー部分に補強されるその部品。
この部品は、極力摩擦を減らすことで抵抗を少なくすることを可能にしたのである。
「あー…、じゃあアサルトか。」
画面を見つめるノジア。
リッカは手を休めた。
「うん、今はそっち優先だけど……」
頷きつつ、歩き始める。
「何?使ってみたい?」
画面を覗いている彼の隣へ。
並んで顔を覗く。
ノジアの表情が、少しだけ緩んだ。
「そうだな…、使ってみたい。これ、合わせてもらえるか?」
振り向いて、部品を示す。
いとも簡単に。
「また簡単に言うね〜。スナイパーの調整が一番気を使うの、知ってて言ってるでしょ。」
ノジアが使用しているのはスナイパー型の神機。
スナイパー型は遠くから狙いを定め、一撃で敵を射抜くことに特化した神機である。
よって、少しのぶれも許されない。
だから神機にほんの少しでも違和感があってはならないのだ。
部品交換にも、傷の修復にも、細心の注意が必要になってくる。
しかしそれも分かっていたのか、
「分かってて聞いたのはリッカさんでしょう?」
狙ったように視線を合わせてきた。
つい、笑みがこぼれる。
「ははっ!わかった?」
「顔を見れば。」
いつのまにか表情に出ていたようだ。
少々気恥ずかしいような、むず痒さも覚えたが、そんなことよりも。
「君の神機って、メンテナンスいつだったっけ?」
「さぁ。」
「さぁって……」
リッカは呆れたように肩を落とした。





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