「きゃっ!」
旧市街地。
中型アラガミ、シユウ。
小型アラガミ、オウガテイル数体。
フェンリル本部所属、第十四部隊が戦闘を行っていた。
「ピーピーうるせぇ!」
「すっ、すみません!!」
ワングがオウガテイルの放った針を紙一重で避けたのだが、感覚を共有しているディバイダーのティオナが思わず声を上げた。
「謝る暇あんなら戦場よく見ろボケ!」
ワングがシユウにバスターを振るいつつ、声を荒げる。
「すみま…、いえ……。っワングさん!右から来ます!」
「ハッ!」





「ティオナ、お前大丈夫なのか?」
今日も無事任務が完了した。
本部へ戻り、チームも解散したところで、アレクから声をかけられた。
「えっ、私何か問題ありましたか…?」
「いやいや、お前じゃないよ。ワングの方」
びくりと肩を上げたティオナに、アレクは顔の前で手を揺らした。
ティオナは目を丸くする。
「お前ワングとリンクしてんじゃん。あいつ結構戦い方乱暴じゃん?ディバイダーは痛覚も共有してんだろ?」
ビシッと指をさし、ティオナの顔色をうかがう。
本音を逃すまいと、じっと瞳の奥を見つめる。
「そ、そんな!私は大丈夫ですよ!ワングさんの戦い方は、とても参考になります」
「…気を使わなくていいんだぜ」
俺がそれとなく伝えとくからよと言いながら乾いた笑みを浮かべる。
それを受けて、ティオナは慌てて背筋を伸ばした。
「そんなことありません!私だったら尻込みしてしまうような局面でも、積極的に切り込んで行かれて、それでチャンスを作っていたりして、いつも刺激を頂いています」
今日の戦闘でもそうだ。
オウガテイルの攻撃をわずかの差で避け、シユウに出来ていた隙を逃すことなく攻撃した。
あの状況で、もし自分が戦場に立っていたらどうしただろう。
討伐に時間が掛かったかもしれない。
時間が掛かれば、その分疲労も溜まり、危険度も上がっていたかもしれない。
「だから、私も何か役に立たないと!と、気合いが入りますよ」
拳を握り、笑顔で言い放った。




その後日。
「ティオナっていい奴だよなぁ」
「ディバイダーシステムは便利だな」
「……お前にはもったいないよなぁ」
「リンク役を譲る気はねぇ」
かみ合っていない会話を正す気も起きず、アレクはうなだれた。




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