しあわせのかたち



貴方と家庭を築けたら、素敵だなと思った。


【しあわせのかたち】


結婚なんて今の私達にはまだまだ先の話で、今までも進んで話題にする事はなかった。
誰かと結ばれる事を先急ぐわけではなく、半ば自然の流れで身を任せていけたらいいと、日々感じている。

「結婚したら、どんな感じだろう」

特に何をするわけでもなく、頬杖えをつきながら物思いに耽る。       
別に結婚に対して強い願望があるわけではない、ましてや今すぐしたいとも思っている訳でも無い。
暇を持て余した空虚な時間の中で、何となく思っただけ。


「何だお前、結婚してえのか?」

だらしなく口を開けて天井を見つめていると、ソファで本を読んでいた大好きな人が徐に声を掛けて来た。
淡々と発せられた彼の声を聞き、私はゆっくり目線を向けながら口を開く。

「別に。結婚したら今の生活と何か違うのかなと思っただけだよ」

そんな私の言葉を聞いた大好きな人は一度小さく溜息をつき本を閉じる、何か気に障る事を言っただろうか、私はガシガシと頭を掻く大好きな人から視線を反らし俯いた。

「じゃあさ、確かめてみるか?」

「え……?」

彼から発せられた言葉を聞き私は即座に顔を大好きな人に向ける、頭の中では紡がれた台詞がどういう意味を持つのか理解はしていた、だけどもし違っていたら恥ずかしいから敢えて彼に問いただした。

「それってどういう意味?」

「俺はお前を今以上に幸せにする自信があるけどな」

大好きな人は照れ臭そうに再び髪を掻き、焦点の定まらない瞳は物凄い速さで空中を彷徨う。
其れを目の当たりにした私は、きっと照れてるんだなと長い付き合いで知っていた彼の癖にクスリと笑った。

「確かめてみようかな」

「……おう、そうしてくれると助かる」

私の運命貴方に預けてみようか、きっと大丈夫、心が貴方を求めている限りこの幸福感は何時までも続く。


「それにしても、変わったプロポーズだね」

「うるせえ、これでも一杯一杯なんだよ」

私は気まずそうに頬を赤らめるなまえを見ては可笑しそうに笑い、沸々と込み上げる愛しさを野放しにしておけなくて、そっと彼に唇を重ね合わせた。



END

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