奴が面接にやって来た!

【奴が面接にやって来た!斑目一角篇】


なまえ「(……え、なんで木刀持ってんの、道場破りでもするつもりか)……どうぞお掛けください」

一角「おー」

なまえ「(……木刀差したまま座ったし)お名前をお願いします」

一角「あ?まずは聞いた方が名乗るのが常識だろうが」

なまえ「……はあ(……面接の根底を覆すんですけど。てゆーか手ぶら?木刀よりも履歴書持ってこいよ!)……なまえと申します」

一角「へー、そうか。中々良い名前だな」

なまえ「よろしくお願い致します(何故か私が低姿勢、普通逆じゃね?)」

一角「おー、しかし此処の空気は汚れてんなー」

ホジホジ

なまえ「まあ、この付近は工業団地ですから(小指を耳に突っ込むな)」

ホジホジホジホジ

一角「……チッ、雑魚か」

ホジホジホジホジホジホジ

なまえ「……あの(雑魚って何だ、そして吹き飛ばすな)」

一角「ああ?ちょっと待ってくれ、今ラスボスと戦闘中だ」

ホジホジホジホジホジホジ……

なまえ「貴方の名前を……(耳掃除をやめろ!いつまでホジホジ作業続けるつもりだ、さっきから深追いしすぎなんだよ!)」

一角「あー、悪い。認めた奴にしか名乗らねえ主義なんだ。おっ、いよいよ大詰めだな!この斑目一角様の手に掛かれば赤子も同然だぜ!」

なまえ「あは……は(名乗った意味ないじゃんか、ちくしょーこのはg、奥底まで詰まって倒されろ)」


一角「待たせたな」

なまえ「はあ……(ラスボスを無造作に床に捨てたよ)」

一角「そんなに気になるか?」

なまえ「……えっ?ああ、まあ(打ち捨てられたラスボスを踏みたくないからね、気にならないわけないでしょ)」

一角「さっきからしつこく俺の名前を聞いてくるからよお」

なまえ「ああ、申し遅れました。私は……(そうだ、店長って伝えるの忘れてた)」

一角「ああ、気付かなくて悪かったな。お前もしかして」

なまえ「ええ、そうなんですよ(普通分かるよね。良かったー、意外にまとm)」

一角「俺を好きなのか?」

なまえ「……は?(何でだあああ!一体何処にあんたを好きになる要素があった?!)」

一角「だってお前さっきからずっと俺を見てるよな、俺の行動一つ一つが気になって仕方ねえみてえだし」

なまえ「……(お前耳掃除してただけじゃん!てゆーか嫌でも釘付けになるから!)」

一角「図星で声も出せねえか。罪な男だぜ、俺も」

なまえ「……(開いた口が塞がらない。確かに罪だね、その救いようの無い馬鹿さ加減は)」

一角「だが悪いな、俺はあんたの事を良く知らねえ」

なまえ「……(え、振られた?コイツの勝手な思い込みで?……理不尽過ぎる)」



なまえ「私は店長のなまえといいます(開始10分で漸く面接かよ)」

一角「始めっからそう言えよな」

なまえ「大変失礼しました(お前が勝手に都合良く勘違いしただけだろーが、つーかその内の8分はあんたのラスボス退治でロスしたんだよ!)」

一角「進めてくれ」

なまえ「何故此処で働きたいと思ったのですか?(マジで立場逆じゃん)」

一角「あー、花太郎がよお」

なまえ「はい(ん?誰)」

一角「働くなら"こんびに"っていう処が俺にピッタリだって言ったんだ、花太郎が」

なまえ「へえ、何故(だから誰?)」

一角「理由、聞きてえか?花太郎が勧めた理由」

なまえ「勿論ですよー(つーか花太郎ってお前の何なんだ!寧ろそっちが気になるわ!)」

一角「"こんびに"っていう処は、暴漢が来たら堂々と斬り捨てる事が出来るって言うじゃねぇか、花太郎が」

なまえ「……え(どんなコンビニだよ!バイオレンス過ぎるわ!)」

一角「だからこうして木刀も新調してきたんだぜ!」

なまえ「…………(普通信じないよ!つーかどんだけ花太郎に絶大な信頼を寄せてんだあああ!
しかもコイツマジで殺るよ、骨も残さないよ!もう風貌からしてただのハゲじゃないもん!修羅の顔付きでラスボスほじくってたし!)」

一角「花太郎が言う不届き者は夜中に集中するっていうじゃねーか!腕が鳴るぜ!」

なまえ「あのぅ……(不届き者はお前だろーが、少なくともそう信じて疑わない奴が此処に一名居るよ)」

一角「あ?」

なまえ「もし(ないけど)採用されたら(有り得ないけど)木刀は店内には持ってこないでくださいね(仮に血迷って雇ったとしても代わりに丸一日デッキブラシを武器に便器と格闘してもらう)」

一角「ああ、やっぱ木刀は駄目だよな。気付かなくて悪い」

なまえ「いえいえ、解っていただけて何よりです(なんだ、案外物分かりいいな)」

一角「完全に息の根止めるには真剣じゃねーと駄目だよな」

なまえ「尚更駄目です(前言撤回!やっぱ阿呆だ)」

一角「あー!?何でだ!」

なまえ「銃刀法違反で捕まりますよ(その木刀っていつも持ち歩いてるの?よく職質されないね)」

一角「はあ?!誰が決めたんだ!お前か?!」

なまえ「いや、国の法律が(え?本気で言ってるの?)」

一角「ああ?!国野宝立って奴が勝手に決めたのか?!」

なまえ「いや、そうじゃなくて。日本の決まりです(誰だよ!ちょっと格好いい名前じゃねーか!)」

一角「なぁにぃー?今すぐ日本野キマリって奴の処へ連れていけ!」

なまえ「……だから人名じゃないんですってば!(もうコイツやだー!)」



なまえ「……気を取り直して(解って貰えるまで一時間掛かったんだけど!木刀振り回して大層ご乱心だったわ)」

一角「どうかしてるぜ」

なまえ「(お前にそっくりそのままお返しするわ!)えーと、どれくらい稼ぎたいとか考えてますか?」

一角「あー……、そうだな、10万環位かな」

なまえ「……え?環、ですか?(円じゃなくて?)」

一角「それくらい稼げれば暮らしていけるだろ」

なまえ「(ああ、この人は他国から来た人かぁ。だから日本の法律に疎かったのか、納得)出身はどちらで?」

一角「出身?」

なまえ「はい(まあ、見た目で中国辺りか)」

一角「何だ、お前俺を諦められないのか……」

なまえ「誤解です(照れ顔止めて!)」

一角「照れんなって、俺もちょっと考え直し始めたからよ。出身は尸魂界の流魂街だ」

なまえ「は、そうる……?るこん?(何処だよ!しかも考え直すって何?!今までの流れでそんな機会あったっけ?!照れてんのはお前だろーが!)」

一角「そうだ。いい処だぜー」

なまえ「へぇ、そうなんですかー(きっと世界地図にも載らないくらい小さな島国なんだな)私も一度斑目さんの故郷に行ってみたいです(最近働きづめだったし、たまには)」

一角「簡単に行けるぜ。つーかお前、俺の故郷に行きたい位俺に惚れてんのか、此れは真摯に向き合わねえと失礼だよな、すまねえ」

なまえ「(無視)今は韓国位だと飛行機ですぐ着いちゃいますもんねー、便利な世の中になりました(事実無根の妄想を繰り広げてる方が私に失礼だよ!まずは自分の現実に真摯に向き合え!)」

一角「おう、三途の川を渡りきれば目と鼻の先だぜ」

なまえ「……斑目さんは冗談がお好きですねぇ(どんな国だよ!死んでまで行きたくないわ!)」

一角「冗談じゃねえよ、俺が連れてってやろうか?」

なまえ「……結構です(其れはお前が私を三途の川に送るって事か?!丁重にお断りします!)」

一角「つうかよ、お前俺の名を知ってたんだな」

なまえ「……え?!いやだって其れは(何でまた頬染めてんの)」

一角「ああ、そうか。お前」

なまえ「そうですよ。やだなあ、もう斑目さんったら。もうさっきの事(冗談は坊主だけにしてよ)」

一角「俺が此処に来る前から俺を知ってたんだろ!そういえばお前、俺が此処に来た時"お待ちしておりました"とか言ってたよな?さては俺の行動を逐一把握してるのか!?」

なまえ「はああ!?(何言ってんだ!さっき自分でラスボスほじくりながら"この斑目一角様"とかほざいてただろーが!それじゃただのストーカーじゃねーか!)」

一角「これはヤバイな。こうなったらお前を尸魂界に連れてってあの人に一番に紹介しねえと」

なまえ「……あの人、とは?(本当に頭ヤバイね、外見含めて。死んでも絶対そうるなんとかって場所には行かないから!)」

一角「男の中の男だ。あ、乗り替えんなよ?!お前は俺の女だからな!」

なまえ「斑目さんに其処まで言わせるなんて、相当な男前なんでしょうね(いつあんたの女になったよ!コイツの脳内どうなってんの?!)」

一角「あの人は歴代最強なんだ」

なまえ「何のですか?(歴代最強にイイオトコなのかな)」

一角「あの人に斬り合いさせたら無敵だ」

なまえ「……なるほど(やっぱり蛙の子は蛙だった!喩え三途の川を渡ってもこの人達に出くわしたくない!)」

一角「他の奴らにも紹介が済んだら直ぐに祝言の準備に取り掛からねえと。やっぱり婚儀には白無垢じゃねえとな、俺のポリシーは簡単には曲げられねえ」

なまえ「あ、すみません。私結婚式はドレスって決めているので(よし、此れで可笑しな妄想もやめてくれる筈!)」

一角「いいんじゃねえか。ここ最近洋装も悪くねえなって思い直してた所だったんだ」

なまえ「……(簡単に曲げる処かバッキバキにへし折った!)」



なまえ「……えー、面接は以上です。何か質問はありますか?(早く帰って貰おう、てゆーか早く帰って)」

一角「ああ、一つだけあるな」

なまえ「遠慮無くどうぞ(もう会うことはないしね、そう思ったらちょっとだけ楽しかったよ)」



一角「"こんびに"って何だ?」

なまえ「お疲れ様でした。あ、帰る時にラスボスをお持ち帰り下さいね」


花太郎おおお!まずは其処から説明しておけー!


その後、このふざけたハ……坊主に毎日翻弄される多忙な日々を送る羽目になった。



END

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