エースは自分には血の繋がらない弟がいると教えてくれた。経緯は分からないが幼少期、山の中で獣やチンピラと戦いの日々だったらしい。
弟も後少ししたら海賊として海に出てくるんだ、と嬉しそうに語った。


「どうして海賊になろうと思ったの?」
「…それはまた機会があれば教えてやる、かもしれねェな」
「なにそれ」

へへっと誤魔化すエースの鼻を指でつんつんしてみたら、かぶりと噛みつかれた。慌てて指を引っ込めると「ふはは」と楽しそうに笑う。

好き、好き、大好き。
やっぱり私はエースに恋をしてる。
だってこんなに人を好きだと思ったことはない。
何よりも、誰よりも私はエースが欲しい。


「じゃあエースは2人兄弟なんだね」
「いや、本当は3人だ」
「まだ弟がいるの?」
「おれと同じ年の…そいつも血は繋がってねェ」

自分もかなり複雑な生い立ちではあるが、エースもなかなかだ。兄弟の盃を交わしたから兄弟なんだと自信満々に語るエースはいつもより幼い表情をしている。

「同い年の兄弟はどこにいるの?」
「…死んだ」
「えっ」
「もう何年も前だ。実際に死体を見た訳じゃねェから、もしかしたらどっかで呑気に暮らしてたりしてな!ははは!」

そんな訳はないだろう。
私が不安そうな顔をしたから、彼は気を遣ってそんなふうに言ってくれたみたいだ。
私の髪をひと束摘んで、エースはそれをぼんやり見つめて「あっ」と呟いた。

「おまえ、そいつに似てんだ」
「え?その死んじゃった兄弟?」
「おう。髪の色と、あと服。初めて会った日、おまえ青い服だったろ?あいつも青が好きでさ。金髪の癖っ毛だったんだよ」

エースはやっとスッキリしたような顔をして、私の髪の毛をわしゃわしゃとかき混ぜる。大きな温かい手が心地よくて、「やめて」と口で言いながらも腕はエースに巻きつけたままだ。

「私もね、血は繋がってないけど弟みたいな男の子が身近にいるの」
「へえ。そうなのか」

もちろんサボのことだ。

「うん。その子が青が好きみたいで…私にも強要してくるんだよね。シスコン気味で困っちゃう」
「ふぅん。じゃああの時の服は弟の趣味か?」
「そうだね。たしかあの服はプレゼントしてもらったやつ」
「随分仲良いんだな」
「エースだって弟と仲良いみたいじゃん」
「おまえの弟って何歳なんだよ」
「たぶんエースと同じ」

途端にエースは顔を顰めた。
何か変なことを言っただろうか。
首を傾げると更に眉間に皺を寄せ、ぐっと顔を近づけられる。

「それ、下心あるんじゃねェのか?」
「え?」
「あっちはおまえのこと姉じゃなくて、1人の女として思ってんじゃねェの?」
「そっ、それはないよ!本当に!」
「なんでそう言い切れるんだよ」
「たまに恋愛相談されるから、好きな子は別にいるみたいだよ?女の子は何をプレゼントされたら喜ぶんだ?とか聞いてくる」
「ふぅーーーん」

そういえばサボは数年前から通信司令部の女の子に片思いしていたはずだ。今までは「ふぅん」と聞き流していたが、今になって興味が湧いてきた。
サボに相談してみるのもアリかもしれない。

「今度会わせろよ。おれが本当に下心持ってない男か確かめてやるから」
「ええっ…!」
「なんで嫌そうなんだよ…」
「だって、なんか2人とも喧嘩しそう…」
「なんで」
「なんとなく…?」

エースは面白くなさそうな顔をしたまま私の髪の毛を指に絡ませて遊んでいる。
さりげなく「でも青が似合う」と言ってくれた。

「ほんと?私、好きな色とかあんまりなくて」
「ナマエは目の色が青っぽいから、青が似合うんじゃねェか?おれは赤とかの明るい色が好きだけどな」
「私もじゃあ赤い色好きになる」
「ははっ、別に無理に好きにならなくていいだろ」

髪から手を離すとエースの骨ばった指が私の頬をするりと撫でた。そしてじっと瞳を覗き込まれる。
エースの瞳の美しさに見惚れた。
私も同じように彼の頬をゆっくりと撫でてみる。

「エースの目、綺麗」
「おまえの目の方が綺麗だと思う」

自然と唇同士が重なって、当たり前のように舌と舌が絡まる。熱い粘膜を感じて先ほどまでの情事を思い出し、下腹部が痛いくらい反応する。
くちゅ、といやらしい水音がだんだんと激しくなってきた。

「んあっ、あ…」
「ナマエ……っ、」
「え、すぅ…!」

気がつけば貪るような激しいキスに変わっていた。
じんじんと痛む子宮。
触られるのを期待して立ち上がってしまった乳首がエースの胸元に当たって絶妙な快感を生む。

「はぁ、ぅ、……んっ」
「……ナマエ、」
「う、ん?」
「もっかい……」

いいか?と少しだけ首を傾げたエース。
求められていることが嬉しい。
こくこくと頷くと、エースは嬉しそうに私のスカートの中に手を滑り込ませた。太ももと尻を乱暴に揉まれる。
その荒々しさが好きだ。

「あぁっ…!」
「声」
「っ、……っぅ、、」

必死に声を我慢して、私たちはもう一度繋がった。







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