その後のお話4

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休日。煉獄さんと近くの小さなショッピングモールで買い物をしている時だった。

「あれ〜?ごっちゃん!」

後ろから女性に声をかけられて、煉獄さんは驚いて振り向いた。
私も同じように振り向くと、そこには若々しくて眩しい美女3人。

「おお!懐かしいな!」
「ごっちゃんまだキメツにいんの?」
「ごっちゃん全然変わらないねー!」

あっという間に煉獄さんは女の子たちに囲まれる。
私の存在が見えていないかのように。
驚いてしまって、私は気配を消してその様子をただただ伺う。

「ごっちゃん」というのは煉獄さんのことだ。
たぶん「れんごく」の「ご」から取ったと思われる。
そして彼女たちはキメツ学園のOGらしい。
3人の女の子たちは大学がどうの、あの頃の2人が今はどうの、私にはよくわからない話をしている。
まるで早口のようだ。
もはや耳がついていけない。

1人の女の子が私の方をちらりと見た。

「もしかして彼女?」
「ん?ああ、そうだ」

煉獄さんはさも当たり前のように、胸を張った。
私も慌てて「こんにちは」と挨拶をする。
そうすると女子3人揃って目を丸めた。

「えええ!?彼女!」
「てか彼女いたの?いつから??」
「うそー!やばー!」


今度は私が囲まれる。
自分よりも何歳か若い女の子たちに囲まれると、顔を隠したくなった。
みんな肌がぴちぴちだ…。
そして普通に怖い…!!
宇髄先生とかと仲良くしてそうな人種!


「こらこら、彼女を驚かせるな」
「えへへ、すみません〜」
「ごっちゃんに彼女とかやばいじゃんだってー」

わあわあと女の子たちが離れていく。
煉獄さんが困ったように笑って、私に視線で謝ってきた。


「ほら、君たちは君たちの買い物に戻りなさい」
「ごっちゃん何買いに来たのー?」
「色々だ」
「うける」

それから女の子たちは大きく手を振って去って行った。
本当に一瞬嵐に巻き込まれたような気分だった。
ほぉ、とため息をつくと、煉獄さんが心配そうに私の顔を覗いてくる。


「…すまないな」
「えっ、いや、煉獄さんが謝る事ではないです!ちょっと若い子たちに圧倒されました」
「ははっ。たしかに、若い子たちはパワーがすごいからな!」
「ね。なんか、自分の老いを感じました…」
「何を言う。君は若々しくて綺麗だ」
「えっ…」

煉獄さんは素直で純粋な方だから、すぐ平気でそんなことを言う。
その度に心臓がきゅんと甘く痛む。


「それより、学校でも煉獄さんがあんな可愛い女の子たちに囲まれてるなんて思うと、ちょっと嫉妬しちゃいます」
「嫉妬?君が?」
「は、はい…」

やばい、嫌だったかな…。
そう思ったのも束の間。
煉獄さんがぎゅっと手を強く握ってきた。


「嫉妬されるのは嬉しいものだな。もっとしてくれ」
「は…え?!い、嫌ですよ!」
「む、そうか?」
「私が知り合いの男の人たちに囲まれて楽しそうにしてたら嫌でしょ?」
「それはとても嫌だな」
「私も嫌なんですから」
「なるほど」

しゅんとしてしまった煉獄さんが可愛くて可愛くて、繋いだ手に力を入れた。



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